
あれやこれや
山形由美さんという方をご存じでしょうか.フルーティストの山形由美さんです.なくし
たフルートが出てきた話(2006.4.28 フルートの価格)を昨年書きましたがあの主人
公です.最近,たまたま彼女のエッセイ集を読んで,思わずファンになってしまいまし
た.演奏を聴いてファンになったのではないところがフルート愛好者としては情けな
い.ちょっと古い本ですが,「フルート,天使の歌」(時事通信)をご紹介しておきま
す.
今日の本題は例のNさんの話.人柄の良さ(?)と共にいつも世話になっていたとい
うことを書くのですが,ご本人は名誉を傷付けられたと思う可能性大なので決して告
げ口しないで下さい.先ずはその1.大昔の私の帰宅経路は[総武線各駅停車→秋
葉原で京浜東北線に乗り換え→東京駅から横須賀線].Nさんのお宅は横浜ですの
で途中まで一緒.さて,秋葉原-東京間はたったの2駅.5分はかかりません.いくら
座席が空いていても,面倒なので普通は座りません.でも,Nさんは違います.
少々,いや,かなりのマナー違反なのですが,秋葉原で乗り換える時もNさんの行動
はエレベータと同じ(2007.8.28 パンツを求めて)なのです.つまり,ドアが開く前から
中心の合わせ目の所に立っていて開き始めると同時に行動を開始します.この時
点で興味のあるのはドアが開くのを待つことだけ.周りに人が居る,特に降りる人が
居るなど,些細なことは視界に入っていません.当然,割り込みしようなどとセコイこ
とは毛頭考えていません.結果的には同じことですが,Nさんは逆におおらか過ぎて
細かいことに興味が無いのです.電車が止まる→ドアの寸前に移動し,合わせ目に
立つ→ドアが開き始める→開ききらない内にNさんが乗り込む→降りる人が降りる
(皆ムカッとした顔をしている).マナー違反などという些事はせっかちさの前に簡単
に敗北です.これだけなら世間の非難が集中して白い目で見られるのはNさんだけ
のはず.わざわざ書く程のことはありません.Nさん“オイ,モモパパ,何やってる,こ
っちだよ,こっち”,隣の席も手で確保して,呼んでくれるのです.たった2駅間を座る
ために.世間の非難を集中して受けているのは,モモパパという名前を居合わせた
人に知られた私だけ(Nさんは非難の目を感じていない)だったという話でした.
Nさんその2.中国五つ星ホテルでの朝食は豪華なバイキング.日本で考えるバイキ
ングとは桁が違います.何せ食の四川.しかも五つ星.客数の10倍は食料があり
ます.いくら私の食糧事情が特殊(2006.3.24 偏食)でも選り取り見取り.ところで,隣
に座ったNさんの挙動が何か変.机の下,膝の上にビニル袋を置いて,キョロキョロ
と見回しては,パンを落としているのです.マジックで,ミスディレクションという技法
があります.演者が見せたくない行為をやる時に,時計を見るとかわざと怪しげな事
をやるなどで観客の目をそらせれば,安心してズルができるという技法.でも,Nさん
のやっていることはマジックそっくりですが,ミスディレクションで誘導する方向が正に
タネそのもの.見え見えなのです.でも,ふんだんにあるパンをビニル袋に入れても
ホテルとしては一向に困りません.だから何をやっているのだろうかと訝しみながら
も誰も何も言いません.食事が終わって食堂を出てから,“おい,モモパパ,お前の
昼飯せしめてやったぞ”.偏食の私がこの何時間か後の昼食時に,仕事の相手先
の食堂では食い物が無くて困るだろうとの気遣いだったのです.涙ものですよね.因
みに,ホテル内にはパン屋もあり,日本円で5円か10円位で幾らでも買うことができ
るのですが.
Nさんには足を向けて眠ることができない理由の一端をご披露しました.Nさんって,
いい人でしょう.いずれ続きを書きます.Nさんのエピソードは尽きることがありませ
ん.
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