あれやこれや

2007年11月03日
逆千手観音(Suicaの効用)


Suicaで一儲けしようとする鉄道会社に踊らされたマスコミと踊らされて手放しで喜ぶ
考えなしの平和な通勤客のことを書いたことがあります(2007.3.19 Suicaに騙される
な).でも良いこともあることが分かりました.

その1.変なおじさん
以前,書いたことがあるかも知れません.毎朝,千葉駅で京成からJRへ乗り換える
このおじさんはちょっと足りないところがある.毎日のことなのに改札口の前まで定
期を出さないのです.で,入り口の前で立ち止まっておもむろに定期入れから出して
スロットに差し込む.だからこの人の後の人は毎回追突しそうになります.皆さん慣
れていてこの人を見ると別の改札ゲートへ行きます.余程,無神経なのか学習能力
ゼロなんでしょう.

ちょっと涼しくなり夜が明けるのが遅くなったので私は冬時間.出勤時間を30分遅く
した結果またこの人と同じ時間に千葉駅で乗り換えることになりました.“あっ,あい
つ未だいた”,気を付けて別の列へ.ところがです.あの学習しない人が何事もなく
改札ゲートを通過しているのです.Suicaのメリットを感じた次第.これからは朝の要
注意点が一つ減りました.

その2.逆千手観音
下手なタイトルでした.でもイメージは手が一杯出てきて変な感じ.Suicaを持った沢
山の手がわさわさと一つのタッチパネル(センサー)に向かって.逆ですが千手観音
のようなイメージだったのです.

説明します.江ノ電七里ヶ浜駅は昔,無人駅でした.今でも夜になると駅員は居なく
なってしまいます.でも生意気なことにSuicaが使えるのです.改札口に当たるところ
に一辺30cm高さ1m位の柱が立っていて,その二面にそれぞれ入出用のタッチパネ
ルが付いているのです.なるほど上手いことを考えたもの.出場記録がなければ翌
日入場しようとした時にエラーになります.だから駅員は要らない.・・・これは鉄道会
社の論理.大きな過ちを犯しています.何故なら機械は間違えるもの.人はもっと間
違えるもの.中でもおじさんは間違えるのが標準.駅員が居ないところでセンサーが
エラーを検出したらどうなると思います.おそらくそんな場合にも対応策が用意され
ているに決まっています.でも,少しでも早く家に帰りたいおじさんが次から次へとタ
ッチしようとしているんです.説明なんて読む人がいるはずはありません.たったの1
行でもまず読む人は皆無のはず.それが普通の人のやることなのです.説明を読
むなんてうんと暇のある人だけ.

先頭を降りたお兄さんがタッチ.エラー音と共にパネル表示が赤に.次に来たおじさ
ん.冷ややかにそのドジなお兄さんを見ながら,未だ赤から青に回復していない赤
のパネルにタッチ.このおじさんのやったことは無理もないと思いました.だって大勢
の客が後ろに続いているのに数秒間も待っているなんて忍耐の限界を超えていま
す.改札前でおもむろに定期を出すどころではありません.でもこのおじさん焦りまし
た.何故なら一瞬青に変わった途端にまたエラーになり赤に.そこへエラーになった
お兄さんが,そんなはずはないとまたタッチ.センサーの方は順に指示を出している
つもりですが,タッチした方は何が何だか分かりません.その状況の中で今まで待っ
ていた更に後ろのおじさんがまたタッチ.自分だけは合間を縫って出て行こうと考え
たのでしょう.その考えもほぼ正しい.でもお兄さんがまたタッチをしてしまった結
果,直ぐにまた赤.じゃということで後からのおじさん(既に出場マークが付いている
はず)がまたタッチ.これは二度めの出場,つまり入場記録がないのに出ようとして
いるとパネルは見なした直ちにご用だと赤.読んで居られる方も何が何だか分から
ないでしょうが,タッチするおじさん達もごちゃごちゃ状態.次から次へと手が出てき
ては青になったり赤になったり.留まったままで何度も何度も赤パネルを出している
人も.

たった一本のパネル柱に無数の手.この逆千手観音状態の手の一つは何を隠そう
私の手.でも,一回タッチしてさっさと出てきました.振り向くと未だ逆千手観音状態
が続いていました.

月曜の朝,自分のSuicaに訳の分からない入出場記録の書き込まれたおじさん達で
またこの柱は大混乱することでしょう.でも,この時は駅員さんがいるはずですの
で,“またか”と苦笑いをしながら解決してくれるでしょう.

Suicaのおかげでありがたいものを見られたという一幕でした.






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