あれやこれや

2007年11月08日
チャカチャカ二題


皆さんが普通に使っているパソコンのキーボード.この文字の配列は不自然だと思
いませんか.誰でもがそう思うらしく,色々工夫された配列のものが売り出されたこと
もありますが,結局は今のJIS配列(QWERTY配列)に落ち着いてしまいました.これ
が一番良いはずはありませんが,今更変更は不可能でしょう.何ともお仕着せで不
愉快,しかも不自然でも慣れるしかありません.未だにモモママは文字探しに苦労し
ているようです.

覚える気になればたったの26文字+α.訳はありません.タイプライター時代にはキ
ーボードを見ないで自由に打てること,タッチ(ブラインド)タイプが第1歩でした.だ
から,自慢する程のことではありませんが,私は大昔からタッチタイプができました.
そして,私のタッチタイプの先生はHMさんという素敵な女性でした.入社して彼女の
タイピングに驚いた私は早速弟子入りをしたのでした.おかげで,パソコンが普及し
た今,HM仕込みのタイピングが役に立ってキー入力は苦労しません.ところがギッ
チョン.タイピングゲームで練習したゲーム好きの長女にあっという間に“チャカ,チ
ャカ,チャカ,チャカ”というけたたましい音と共にスピードでは(実は内容でも)置い
て行かれてしまいました.若い人には敵いません.たしかに素早くタイピングが出来
ると文章を書く時,思考が止まらずに済むというメリットはあるのですが,まあ,外国
語会話と一緒で,この手の技術は本質的な価値は何もなく,ただ便利だというだけ
のことなのですが.・・・ちょっと負け惜しみ.

さて,タイプの先生であるHMさんの話.その後,年賀状のやりとりもないのでどうさ
れているか分かりませんが,当時は大変お世話になった恩人でもあるのです.だか
ら通勤途上で出会っても邪険になどできない.例え遅刻寸前でも放ったらかして,自
分だけ先に走って行くなんて不人情なことは・・・.

その日は,電車ダイヤが乱れ,おかげで勤め先までのバスも大混雑.そのバスの
中でHMさんに出会ってしまったのです.“降りてからダッシュすればこの時間なら遅
刻せずに間に合うかな”なんて考えていた矢先です.でも,その時はHMさんがこれ
ほどのお荷物だとは思ってはいなかったのです.“走れば何とか間に合いそうだ
ね”,“頑張りましょうね”.ここまでは知らぬが仏.この会話が悪かった.バスが止ま
って下車.さあダッシュ.“アレッ,いない.HMさんがいない”いや,いるのです.ずっ
と後ろに.ほとんど降りた位置から何mも進んでいないのです.仕方がないので,彼
女の所までバックしてまた走り始めました.“チャカ,チャカ,チャカ,チャカ”何の音
か分かりますか? 勿論タイプの音ではありません.これHMさんの足音.無茶苦茶
に小股なんです.音だけ聞くと速そうなんですが,幾ら音を立てても全然前に進まな
い.後悔したのはこの時です.でも,時既に遅い.もう無視はできません.彼女だっ
て一生懸命なんですから.ここで置き去りにしては男を下げてしまいます.見栄っ張
りの私としてはそんなことは出来ません.一番簡単なのは抱え上げて(そのくらい細
い人だったのです)丸ごと運んでしまうことですが,流石に新人の分際でレディに失
礼.仕方がないので荷物を全部持ってあげるのが関の山.“チャカ,チャカ,チャカ,
チャカ”というけたたましい音を聞きながら門を入ったのは既に定刻1分過ぎ.ま,未
来のヒーロー(2006.4.1 腰痛)としては,僅かな遅刻だけど仕方がないか.

電車事故による遅刻なのでノーカウントとの連絡がありましたが,そんなことは事前
に言って欲しかった(無理か).“チャカ,チャカ,チャカ,チャカ”というけたたましい
音だけが30年経った今でも耳から離れません.





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