
あれやこれや
先週末,2年ぶりのカルメンを鑑賞して来ました.M.ドマシェンコという生まれながら
のカルメンそのもののような歌手が来日できなくなり,代わりにモンティエルという人
が主役をつとめました.流石に新国立劇場がドマシェンコの代役に立てる歌手だけ
のことはあって素晴らしい歌唱を聴かせてくれましたが,なんと言っても珍しいほど
色気十分(過剰?)の妖艶なカルメンでした.
世界一の人気演目ですので,観客も“初めてのオペラ”の人が多かったのでしょう.
珍しい現象がありました.拍手どころを間違えるのは良くある話で,全然大したこと
ではありません.このところ急に寒くなった影響か,風邪ひき客が多い.上演中は咳
をすまいと頑張っているのですが,幕が下りると同時にあちらでもこちらでもゴホンゴ
ホン.皆さん苦労してます.これだけなら,寒い季節の約束事みたいなものです.特
にどうということのない普通のことですが,問題があったのは次の幕が開く寸前で
す.咳をするなら“今だ!!”と思うのか,ゴホンゴホンが再び始まる.何が問題
か? 何の問題もなさそうですが,オペラは演劇であると共にそれ以上に音楽でもあ
ることが忘れられてしまった様なのです.幕が開く前の間奏曲.カルメンの中でこの
3つの間奏曲の占める地位は他のオペラ以上に重大なのですが,皆さん,幕がもう
じき開く前の今が僅かに残されたチャンスとばかりゴホンゴホン.幕が開くとパッとお
さまってやっと静かになる.どうも間奏曲が映画館の休憩時間のバック音楽と似たよ
うなものだと勘違いされてしまったようです.
メロディーの美しさでは全フルート曲中でもピカイチの第3幕への間奏曲.聞こえるか
聞こえないかの静かなハープの序奏から始まります.一つでも音を聞き漏らすまい
と全神経を集中させている矢先に,あちらでもこちらでもゴホンゴホン.
あらゆるワザが使える新国立劇場ですので,前奏曲や間奏曲が始まったら取り敢え
ず幕を開けるなんて手もあるのではと考えた次第です.いや,来年からはきっとそう
なる.
苦情ついでにもう一つ.携帯電話の電源は切りましょう.着信音は論外ですが,メー
ルチェックの明かりでさえ結構目障りです.余りうるさいことは言いたくはありません
が,新手のファンが“のだめ軍団”など呼ばれている話を思い出してしまいました.
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