あれやこれや

2007年12月04日
わぁがままものの見処(カルメン2)


昨日の訂正というか補足.“のだめ軍団”なる言葉を使いましたが,そんな事件があ
ったなぁという程度の意味で,私はゴホンゴホンに確かにガッカリした面もありました
が,咳をした人を責めるつもりは全くありません.むしろ主催者側の小さな配慮が教
育的意味も持たせられると思っただけですので誤解無きよう.ただし携帯電話のメ
ールチェックはいけません.休憩時間以外は余りに目(耳)障りです.出物腫れ物の
咳は仕方がありませんが,携帯電話は自分の意志で起動する訳ですのでこれは明
らかなルール違反です.本人は気が付かないかも知れませんが,あの明るさは回り
から見るとフラッシュを焚いたほどにも感じてしまうものです.大体,ヴァーチャル世
界に遊びに来て,現実世界の最たるものを忘れられないなんて最低です.

さて,本題.新演出ということで少し心配があったのです.今回の演出家,鵜山さん
は演劇舞台の専門家でオペラは初めてとのことなのでこの点が気にはなっていまし
た.新国立でも,まれに“入場料を返せ”と言いたくなる臭い演出があるからです.

時代を置き替える,舞台設定を別の国にしてみるなど多少の遊びはそれはそれで
面白いこともありますが,筋まで変えたり,思わせぶりで意味のない手振り身振りを
入れたりと恥気もなく演出家のレベルの低さ丸出しのもの(私にはそう見えてしまい
ます)がドイツ系だけではなく日本でも見られるようになってしまったのが現状です.
歌合戦のはずが絵の品評会になったり,エジプト王家の恋のさや当てが能の舞台
になったりと.そして,そんな下らない演出に限って,演奏の方は立派なことが多い
のが何とも不思議な現象です.ところが,こんな詰まらない流行は何処吹く風.鵜山
演出は違いました.簡素な舞台,奇をてらわない正統的な,かといって隅々まで行き
届いた演出は見事でした.“新鮮味が無い”,“主張が見られない”などと言う評論家
のしたり顔の悪口は目に見えるようですが,私はこれこそオペラ演出の本来の姿だ
と感じました.“新鮮味”,“主張”を見たい人はオペラではなく別の場があるはずで
す.

さて,カルメンの見処聴き処はゴマンとあります.というか全部が見処聴き処です
が,特にわぁがままおじさんの目を付けている個所はただ一点.“アイーダ”でアモナ
スロが“聞いちゃった聞いちゃった”と出てくる場面(2006.11.18 聞いちゃった聞いち
ゃった)並みの低レベルの話ですので怒らないでね.

たばこ工場で働くカルメンとマヌエリータが些細なことで喧嘩をして,マヌエリータに
傷を負わせる小事件が物語の発端ですが,マヌエリータは傷付けられた所を見せる
為に額に赤で大きく×を書くのが習慣になっています.如何にも間抜け,ややおふざ
けの感のある場面ですが,この×印が目立つ演出が多いので,オリジナルの台本
に書いてあるのか習慣でこうすることになっているのでしょう.×なんてどう考えても
変ですが,この真抜けたところが私は好きで,いつも楽しみにしている場面でもある
のです.

わざわざ双眼鏡を使ってまでマヌエリータと思しき人物を捜して観察したのですが,
×はとうとう見ることはできませんでした.鵜山演出に強いて欠点を上げるとすれば
この×印がなかったことと幕を開けるタイミング(昨日up分)だけだったと独り決めし
て,わぁがままおじさんは久しぶりのカルメンに大満足で帰宅しました.






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