あれやこれや

2007年12月13日
オペラあれこれ(カルメン6)


このページはタイトルが例えオペラでも,例え成都でも,例えボートでも,どなたにも
お読みいただけるように一般的な内容に限って書いているつもりですが,今日はち
ょっとオペラに偏るかも知れません.よって,固有名詞の飛び交う今日の話は興味
のない方には詰まらないはずですので,予めお許しを・・・.

先週の休みは余り時間が無くて2作しか鑑賞できませんでした.一つはBS-hiで放映
されたメトロポリタン歌劇場中継のプッチーニ3部作からジャンニ・スキッキ.それと,
H.プライが主人公(他にベルガンサ,アルバ,・・・)である大昔の映画版セビリアの
理髪師です.プッチーニの作品はどれもこれも旋律がフニャフニャしているので余り
好みではないのですが,ジャンニ・スキッキは例外.この面白さは格別です.ご存じ
ない方には強くお薦め.あっという間に終わる1幕物ですので長時間を確保する必
要もありません.

もう一つはセビリアの理髪師.プッチーニとは逆に,歯切れの良いロッシーニ作品は
何れも大好き.面食いのはずのモモママが何故かプライのファンだというのでプライ
が主人公のものを見ることにしました.プライの“理髪師”はヴンダーリヒが伯爵を演
じているこれまた古い録画のDVDも持っているのですが,今回は日本語字幕入りの
ルイジ・アルバが伯爵を演ずる方です.

ちょっと話は変わりますが,俄オペラファンの私は,パヴァロッティが本当に美しい声
を持っていたということを実は話の上でしか知らないのです.私の知っている晩年の
パヴァロッティは悪く言えば過去の名声におんぶされた“元”バヴァロッティ.その
点,ヴンダーリヒやアルバは真に美しい声の持ち主でした(彼らの時代はオペラも良
く聴いていました).パヴァロッティは三大テノールの1人としてもてはやされていまし
たが,彼の真価を知らない私にはちょっと信じ難いことなのです.営業的に作られた
三大名所とか世に色々な三大・・・がありますが似たようなものに思ってしまいます.
ドミンゴがオペラ界の圧倒的な巨人であること,男前のカレーラスの人気は理解でき
るのですが,パヴァロッティの十八番である愛の妙薬のDVDを見ても(聴いても)演
技過剰でちっとも良さが伝わってこない.駆け出しのマチャードの作品の方が余程
出来が良く思われましす(マチャードはネモリーノそのものでした).他にいくつかパ
ヴァロッティの出るDVDを持っていますが,何れも演技過多と声の固さでイマイチ.
おそらく,DVDなどになっているのは盛りを過ぎてからの上演記録しか残ってなく,真
価が発揮されていないことが原因なのだと思います.なぜなら,追悼記念の映画版
リゴレットがCSで放映されていたのですが,これは素晴らしい.十分に人気の程がう
かがえる演技と歌唱でした.但し昔の映画版なので肝心の声の美しさまではよく分
かりませんでした.私の鑑賞歴からパヴァロッティの全盛期の時代だけが運悪く抜
け落ちてしまっていて,しかも名録音が(手許に)無い.実は,20年もの長い期間,殆
ど音楽を聴いていなかったことがあったのです.俄オペラファンとしてはこの貴重な
期間を後悔しても始まりませんね.

それにしても,アルバもヴンダーリヒもデル・モナコも声の美しかったことが十分分か
るDVDやCDが残っているのに,あれほど評論家達に美声が絶賛されるパヴァロッテ
ィには声が大きいこと(と高い声を楽に出せること)しか分からないDVDしか売られて
いないのはどうしたことなのでしょう.パヴァロッティの大声に辟易したバトルの気持
ち(本当かどうかは知りません)も分かるというものです.なおCDには良いものがあ
るかも知れませんが,今更探す気にはなりません.

今日は少々マニアックな話題でした.以後,注意します.





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