No。005
着メロの心理
1999.12.29
by Y.Tomizawa



携帯電話・PHSの加入台数が、3000万台を突破したとのことである。
国民の4〜5人に1人が持っている計算である。最近では、若者だけではなく、かなり年輩の人が使っているのを見ることも、珍しくなくなった。

そこで、着メロである。
あなたは、設定しているだろうか。



あれこれダウンロードできるということなので、私も試しに、「JRAのG1のファンファーレ」をダウンロードしてしまった。
しかし、鳴るように設定していない。
やはりマナーの問題もあるし、私自身、まわりで着メロが鳴っているのを聞いて、不愉快に思うから、普段は、バイブレーターにして、音は全く出ないようにしている。

着メロを設定している人は、どういう気持ちなのだろうか。

仮に、私が、「JRAのG1のファンファーレ」をオンにしていて、そこに電話がかかってくる。
もちろん、着メロが鳴る。
「ピーピキピーピキピーピピピピーピピピピーピーピピーピーピーピーピッピー・・・・・」
私は恥ずかしい
自分で設定しておきながら、気恥ずかしいのである。マナーの問題から、というよりも、「こっぱずかしい」という方が正解である。

「着メロ」の利点としては、自分に電話がかかってきていることがすぐにわかる、ということがある。
たしかに、これだけの人が持っていれば、ありきたりの音色設定では、誰にかかってきているのかわかりにくい。
少し前には、着信音が鳴ると、みんな(携帯を持っている人は)ポケットやカバンをガサゴソ、ということがよくあった。
しかし、着メロの登場以来、それはたしかに少し減った気がする。

では、着メロが鳴った瞬間に、それを聞いている(聞かされてしまう)周囲の人は、どのように考えるのだろうか。
着メロは、その「
音色の意図」を理解してもらわなくては、意味がないと思う。

仮に、私の「JRAのG1のファンファーレの意図」は、次のようなものになる。
競馬ブーム以来、ファンファーレがレースのグレードごとに変わっており、最近では、G1ともなると、ファンファーレに合わせて、手拍子をするようにまでなっている。そして、関西で行われるG1のファンファーレは格好いい。たかがファンファーレが、CDにもなっているくらいである。これが演奏できたら、格好いいなと思っている。
できれば、ここまでわかって、私の着メロを聞いて欲しい。
こういう私の意図を理解してもらった上で、着メロが鳴った瞬間に、「おっ、ヤルね」と思って欲しいのである。



着メロのパターンもこれだけ増えてくると、おそらく「自分が気に入ったものを設定」できるのだろう。
しかし、やはりマナーの問題もある。
せっかく設定した音色も、マナー問題の前には、無力になってしまうこともある。だから、せっかくダウンロードしているのに、そのままお蔵入りとなっている着メロも多いのではないだろうか。


こうしている今も、きっとどこかで着メロは鳴っているだろう。
でも、着メロが鳴ったその瞬間に、「音色の意図」と「意図の理解」と「マナー」という、非常に微妙な緊張感がその周囲に走っていることもまた、事実なのである。