第三回 第一変換
今回は、日本語というよりも、言葉というものについてのことです。
もしかしたら、これは「若き老人」のほうに書くべきなのかもしれませんが。
人は、何かを思ってそれを表現するために言葉を使います。
もちろん、状況によっては、言葉以外の方法で表現することもあるでしょうが、
直接相手と向き合った時の手段はほとんどが言葉だと思います。
この、「考え→言葉」という変換作業で、
人によって、どのような言葉が出てくるかは全く違うでしょう。
どのような過程を経て、それが形作られてきたかは人それぞれでしょうがけれど、
この変換がその人の言語パターンの根幹になっていることは間違いありません。
中でも、反射的に口をついて出る言葉は、自分で制御しにくいので、
特に重要ではないかと思います。
私は年末に花屋でバイトをする機会があったのですが、
その時に失敗をしてしまい、頭の中に「謝る」という行動が浮かんだのですが、
頭の中では「申し訳ありません」と言う言葉が浮かんでいたのですが、
それが言葉として発せられる前に、いつも簡単に使っている、
「すいません」が口から出てしまいました。
この場合はそれほど困ることはなかったのですが、こういうことは多いです。
もちろん、私自身が、緊張すると早口になったり、どもったりしやすいので、
そのあたりに原因があるのかもしれませんが。
よく、「最近の若者は敬語がきちんと使えない」というニュースの時に、
街頭でインタビューされる人が、いろいろとごちゃまぜになった敬語を使ったりしますが、
これも、普段の習慣を切り換えきれなかったせいなのかもしれません。
いざと言う時に変な言葉が出ないように、
自分の中に登録されている第一変換の言葉を
きちんとしておいたほうがいいのかもしれません。
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