第四回 「言葉の限界」

前回に引き続き、今回も、日本語に限らず、言葉全体のことについて。

誰でもそうなのかもしれませんが、私はできるだけ選んで言葉を使うようにしています。
自分の知っている言葉を的確に使いたいというのもありますが、
最大の理由は「言葉」という伝達手段が好きだからでしょう。
翻訳をしているときなど、考え抜いて自分の思ったものと馴染む言葉にたどり着いた時、
たまらなく喜びを感じます。(やや自己陶酔の面もありますが)

普段の会話等ならともかく、HPで自分のやりたいことを表現する方法は文字だけではありません。
イラスト・音楽、またはそれらの組み合わせや配置等、様々です。
ですが、私はあえて文字のみにしました。
自分に絵心というものがないのはわかっているので、それを避けたこともありますが、
何より、自分の言いたいことを表現するのに、言葉が最適だと思ったからです。
自惚れなのかも知れませんが、私は自分の言葉に自信を持っています。
読みやすさ、美しさといった点ではどうなのかわかりませんが、
少なくとも、自分の考えを的確に表現することにおいては自信を持てます。

ところが、半年余り前のことですが、感情に言葉が追いつかなくなりました。
詳しい内容はちょっと言えないのですが、
その感情自体、今までの私にはなかったものでした。
その時には何も思わなかったのですが、後になって考えてみて、
もしかしたら、今までの言葉に対する自信は間違っていたのではないか、
と思うようになりました。
言葉が感情を表現しきれているのではなく、
自分が使える言葉に合わせて感情の幅を狭めていたのではないか、と。

現時点ではまだ断定はできませんが、
少し、自分の言葉に対する見方を変える必要があるのかもしれません。

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