和田岬線2.7kmの旅〜大都会のローカル線〜(1)


兵庫駅の和田岬線改札口

兵庫駅の改札内ある和田岬線改札口。
和田岬線の旅はここから始まる。
柱の左側には有人改札口がある。
青春18きっぷが余った、どこに行こう
 金券屋で残数3回の青春18きっぷを買った。本当は残数2回のものが欲しかったが、金券屋をまわっても運悪く2回以下のは見つからなかった。仕方なく3回のを買い、余る1回分をどうするか考えた。捨てるのももったいなく思い、そこで思いついたのが神戸市内の非電化ローカル線、和田岬線だった。

 和田岬線の歴史は意外と古く、山陽鉄道(現、JR西日本山陽本線)の貨物線として1890年(明治23年)に兵庫-兵庫港(現、神戸港)まで開通した。旅客営業は1910年から始められた。工場などへの枝線があったが、現在は兵庫-和田岬間の2.7kmとなっている。和田岬線と呼ばれているが、正式には山陽本線の支線である。

 1964年から運用された旧型客車オハフ64はほとんどの座席を撤去した立席専用客車のように和田岬線で使用されていた。他の線でそんなことをしたら非難に晒されるのだろうが、わずか2.7kmの路線なのでそうでもなかったのだろう。現在ではキハ35系気動車で運転されているが、2001年7月で電化されてしまうので、和田岬線で気動車が活躍するのもあと少しだ。

 和田岬線の特異な点は、和田岬駅周辺の工場で働く人々のためだけの線と言っても過言でないという事だろう。そのため現在のダイヤはそれらの人々の通勤、帰宅時間に合わせられ、平日は朝夕夜のみの、計14往復の運行で(3/3〜6/30運転の3本を含む)、休日に至っては2往復というお義理程度の本数で、まさに大都会の中のローカル線だ。だが、前述の利用者がかなりいるので、かなり特異なローカル線と言えるだろう。

 この周辺には神戸市営バスが運行されていて、列車の運転本数が少なくても住民は,全く困らない。7月に地下鉄海岸線が開通し和田岬駅が設置され、和田岬線の存続が危ぶまれたが、7月1日から電化され存続する事になっている。

和田岬線、兵庫駅
 関西本線、草津線を経由し草津駅から新快速で飛ばして和田岬線の始発駅の兵庫駅を目指す。新快速は兵庫には止まらないので、1つ手前の神戸で普通列車に乗換えた。

 神戸市内に入った時は日は傾きかけ、建物がオレンジ色の光を浴びていた。兵庫に着く前の車内放送では15分で接続するにも関わらず、和田岬線の列車の案内は無かった。この時間なら和田岬にある工場から帰る人がほとんどで、兵庫から乗る人は想定されてないのだなと感じる。

 帰宅客などで賑わう兵庫駅の高架のホームに降り立つと、JRに間借りしている私鉄駅のような和田岬線のホームの屋根が見える。階段を下りると和田岬線乗り場の案内があり、右に曲がると和田岬線の改札口が見えた。山陽本線内の改札内にあり、2度改札を通らなければいけない。面倒だが、運転本数が朝夕だけなので、それ以外の時間にむやみに入られると防犯上良くないのだろう。自動改札機が並ぶが、柱の左側に有人改札口があり、係員に18きっぷを見せ通った。

 少し通路を通り和田岬線のホームに出た。右上は山陽本線のホームで高架が続き何本もの列車が行き交う。駅のコンコースが先ほどの改札から更に階段を下りなければいけないので、中二階のような所にホームがあるような形だ。意外と長いホームで朝夕は賑わう事を感じさせる。1面1線の行き止まりホームで側線が1線ある。全く独立している線のようだが、和田岬寄りには山陽本線への渡り線がある。出発10分前なのにホームには私以外の誰一人いなかった。

 和田岬駅発17時28分に出た列車がビルの間からカーブしてくるのが見えた。6両編成の空色の気動車はホームの先端で撮影していた私の横を通り過ぎ、ホームに滑り込んだ。ドアが開くと同時に大勢の乗客が下車し和田岬線の改札口に殺到した。

 折り返し17時40.分発の和田岬行きになり、大勢の乗客が去った後の6両編成の車内は寂しい。だが乗客がいて少々驚く。でも、少ししたら、それらの乗客は一人、また一人と席を立つ。要領を心得た常連客は混雑が収まった頃を見計らい下車し改札口に向うのだった。それでも各車両数人の乗客がまだいる。鉄道ファンならまだしもと思ったのだが、JR線を使って帰る時、運良く列車があるなら、運賃が連続して計算されるので、和田岬線を選ぶのも分かる気がする。バスならば兵庫駅までのJR運賃の他バス代が要る。

  車内に入ると反対側の扉の一部が塞がれて閉まっているのが目に入る。塞がれていない扉もあるが、どっちみち降り口が片方だけで使われることはないのだろう。片側3扉で客車時代の立席専用と違い、オールロングシートの近郊、通勤型で都心で見るのとあまり変わらない。だが、かなりくたびれていて古い。非冷房車で扇風機が天井に一列に並んでいる。夏だとかなり暑そうだ。

 私は前方が良く見える運転席後ろのロングシートに陣取った。高らかに発車のベルが鳴り、数名の鉄道ファンと地元の利用者という回送車状態で和田岬駅に向け動き出した。
和田岬線ホームに向う

改札を通り和田岬線ホームに向う。
和田岬駅駅名標。

兵庫駅和田岬線ホームの駅名標。
その後ろに山陽本線の駅名票がある。
和田岬駅発の列車が到着

17時28分発和田岬駅発の列車が兵庫駅に入線。
右奥に山陽本線への渡り線がある。
兵庫駅に到着した列車から多くの帰宅客が下車

到着した列車から多くの帰宅客が下車.。
「和田岬線仕様」キハ35車内

キハ35車内。“和田岬線仕様”に改造
され一部のドアは塞がれ、車端部の
シートがない部分も。

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