竹鼻線(江吉良-大須)の廃線跡を歩く(1)


◇在りし日の竹鼻線廃止区間(2001,6月中旬)

竹鼻線大須行き列車

江吉良駅に進入する竹鼻線大須行き列車。
羽島線の0キロポストも見える。
 ホーム一面で無人駅の江吉良駅は、岐阜羽島駅に隣接している新羽島に行く羽島線と、大須に向う竹鼻線の分岐駅だった。だが乗換駅として案内されるのは江吉良ではなく、1つ北側の羽島市役所駅だった。

 江吉良-大須間は日中は30分毎という廃止になる線にしては、運転本数も多かった。だけど乗客は余程少なかったのだろう。実際私が乗り行った時も昼間とは言え、2両編成の列車はがら空きで、1両でも十分と思える程だった。
大須駅

竹鼻線の終点、大須駅。
 終点の大須駅。木曽川と長良川に挟まれた中州のような所にある羽島市の先端に近い所にある。以前は小さいながらも立派な駅舎があったそうだが、屋根だけの吹きさらしの駅舎になってしまった。ちなみに昭和29年まではもう少し先に進んだ長良川の堤防の下に大須駅があったという。

◇廃線約1ヵ月後(11月上旬)

大須駅跡。柵が残る。

大須駅跡は早々に取り壊された。何故か
駅前の柵が同じ場所にある。



早くも取り壊された大須駅

すっかり更地と化した大須駅跡。手前の柵は
大須駅で使われていた柵かもしれない…。

 羽島市役所駅から羽島線代替バスに20数分乗り、大須駅前に差し掛かった瞬間、驚きで目が見開いた。大須駅がもう消滅しているのだ!もう無くなったとは聞いていたが、こうして目の当たりにすると改めて驚き、駅のあった所を呆然と見つめるしかなかった。しかし、何故か、ホームに上がる階段の前にあった利用客をホームへと導く青い柵が取り残されたように、以前と同じ場所にある。

 大須駅に入る手前も、レールは外され整備されており、道路工事でも始まるかと思わせる。ただ赤錆びた色が付着したバラストが、レールの跡だという事を物語っていた。廃線されて駅が取り壊されるのは、当たり前の事だが、まだ廃線から間もなく、有用な土地でもなさそうなのに、急ぐように更地にしてしまったのは全くショックだ。

 駅そのものは取り壊されたが、駅の面影を感じる物はいくつも残っている。藤棚のある廃商店、駅前の公衆トイレなどは6月に訪れた時の記憶のままだ。また駅跡の東側に設置された柵が、設置されたばかりにしては妙に古びている。前述の柵と同じ物で、在りし日の大須駅の写真に写っていた柵とよく似ている。もしかしたら取壊した時の物を使いまわしているのかもしれない。

  赤錆びたレールが伸びる

レールがまだほとんど敷かれたままだった。
 大須駅の手前の所の鉄橋からはレール姿を現した。ここからはレ-ルの上を歩いて先に進む。

 まだ廃線後1ヶ月で、廃線跡と呼ぶにはまだ生々しい程、道床がほとんどそのままの姿で残っている。だが、ついこの前まで輝きを放っていたレールは既に赤錆び、亡き骸と言いたくなるような姿だ。その隣りには、架線が外された架線柱が江吉良に向って一本一本並んでいる。

 遮断機がもぎ取られた傷跡

 遮断機は全て撤去され、コンクリートの
土台だけが残る。

 遮断機は全て撤去され、ケーブルが切断され断面を露わにしている。コンクリートの土台に残る遮断機の跡が、まるでもぎ取られた傷跡のようで痛々しい。踏切毎に「踏切廃止のお知らせ」の看板と、廃線跡への進入を防ぐ工事用の柵が設置されている。踏切が多く、踏切に突き当たる度に、跨いだり横を通ったりして先に進む。
  沿線の注意書き
 注意書きの看板類やキロポストなど標識はそのまま残っている。道路の踏切があることを知らせる標識は袋を被せて隠されているものもあった。

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