快速海峡、青春18きっぷ紀行(1)


快速海峡(青森-函館)。50系5000番台客車。

青函トンネルを介し青森-函館間を結ぶ快速海峡。
快速列車なので、青春18きっぷのみで乗車できる。
50系客車(写真)と14系客車で運用。だが、2002年
12月に特急に格上げ、新型車両導入のため、
快速海峡と専用の50系客車は廃止される。

快速海峡5号(青森→蟹田)
 今回は、青春18きっぷと航空機を利用しての北海道鉄道旅行で、今年の12月に無くなる快速海峡に乗る事も目的の1つだった。道内に直接飛ぶのではなく、どうせならと趣向を変え、快速海峡の始発の青森駅からの北海道のアプローチを思いついた。北海道には2年に1回は行っているが、たいてい寝台特急か飛行機の利用で、気が付けば快速海峡は数回利用しただけだった。東海地方からだと、列車を何回も乗換えて北海道に向うのは面倒で、時間も掛かるので、避けがちになってしまう。

 JAS便で青森空港に着き、到着ロビーに出るといいタイミングで控えていた青森駅行きのバスに乗った。順調に市街地に向かい、青函トンネルで活躍するED79など電気機関車が多数控える青森総合鉄道部を跨線橋で跨いだ。11時8分発の快速海峡5号は、飛行機の到着時間を考えるとかなりぎりぎりで、まず間に合わないから、13時10分の津軽線の列車の時間まで、青森市内で時間を潰そうと思っていた。しかし、快速海峡5号に乗れる可能性は0ではなくなった。 

 海峡5号出発の2分を切った所で、青森駅のバス乗り場に到着し、私は真っ先にバスを降り、駅に向って一目散にダッシュした。改札口で、ちらりと目を遣った電光掲板の「快速海峡5号」の表示は既に点滅していた。青春18きっぷの日付スタンプを押してもらうと、「もうすく出ますからお急ぎ下さい」と函館行き快速海峡5号に乗る事を察した改札の係員に促され、息も切れ切れに階段を駆け上がり、快速海峡の停車しているホームへ急いだ。ドラえもんのキャラクターで派手に彩られた海峡5号が控えているホームに滑り込んだ時は、出発のベルが鳴り響いていた。写真を撮っている暇はもちろん無く、最寄の車両に飛び乗った。
 
快速海峡のサボとドラえもん

快速海峡のサボ。1998年から毎年
ドラえもんキャンペーンが開催されている。
快速海峡の車両や電気機関車には
ドラえもんのキャラクターが貼られ?
「どらえもん海底列車」として運行される。
 動き出した車内で席を求め歩く。2号車の自由席、カーペットカーに座りたかったが、始発の時点で程よく埋まっている。グループはビールを片手におつまみを囲み輪になり、個人でも靴を脱ぎカーペットの上で楽な姿勢でくつろいでいる。羨ましいが、あえてその中に入る気もせず、隣りの自由席の1号車に移る。そちらは座席の喫煙車だが、半分程度しか埋まっていなく、幸い窓際の席を確保できた。

 海峡5号は奥羽本線とは既に分かれ、単線の津軽線を走っている。急いで乗車し、体が熱く息が乱れていたが、ようやく落ち着いてきて、外をのんびりした気分で見られるようになった。最初は青森のベットタウン風だったが、少し雪を被った畑などが目立つようになってきた。周りは雪解け間近と言った感じで、所々で地面や枯草も見えている。

 それにしてもよく停車する。先程、奥内駅で停車したと思ったら、今度は中沢駅で停車する。時刻表上では蟹田までは停車しないが、青函トンネルを行き来する貨物列車や津軽海峡線と津軽線の旅客列車で、単線の津軽線の許容量はいっぱいで、すれ違いのための運転停車をしなければいけないのだ。交通量が多いなら複線にすればいいと思うし、沿線は住宅が少なく用地取得も難しくなさそうだ。

 しかし、車窓を眺めていると「列車のせいで私たちは苦しんでいます」というような強烈な内容の看板が目に飛び込んでくる。まるで今、列車に乗っている自分に言っているようで、言葉が胸に突き刺さる。ただのローカル線だった津軽線は、青函トンネル開業後は本州と北海道を結ぶ大動脈となり、昼夜を問わず貨物列車や旅客列車が往来し騒音が酷いのだろう。土地があるからと言って、簡単に複線には出来ないものなのだ。

 オマケとばかりにもう一駅、郷沢駅でも運転停車し先に進むと、左手に青い海が広がる陸奥湾と、海の向こうには下北半島が見える。空は晴れ渡り、雲間から光りが降り注ぐ空と、開放的で雄大な海の景色が車窓に広がっている。

 海と別れ、町中に入っていき蟹田駅に到着した。ここで快速海峡からは一端離れ、十数分後の三厩行きのローカル列車に乗換え津軽二股を目指した。

快速海峡11号、青函トンネルに突入!
(津軽今別→函館)

 海峡5号に乗れたおかげで、津軽今別駅、津軽二股駅、中小国駅の駅をウォッチングをのんびりと楽しみ、津軽二股駅に隣接した津軽今別駅の待合所でただ1人、函館行きの海峡11号を待った。海峡線で青函トンネル内の防災拠点の竜飛海底駅、吉岡海底駅を除き、地上にあり利用客が普通に利用できる駅として、津軽今別駅、平成2年開業の、北海道側の入り口近くに知内駅が出来た。だが両駅とも信号所として利用される予定だった駅で、人家の少ない所にある。海峡線内に各駅停車の列車がないため、両駅には快速海峡はお義理程度に数本停車するだけだ。

 定刻に闇の中から快速海峡11号が現れた。降りてくる人は居なく、乗車したのは自分だけだ。念のために指定券を買っておいたが、カーペットカーが開いていれば指定席を捨て、そちらに座ろうかと思ったが、海峡5号のように埋まっていて人気の程が窺える。

 指定された席に落ち着き、短いトンネルを何度も出たり入ったりすると、遂に青函トンネルに突入した。新幹線規格の軌道のお陰で揺れは少ないように思う。しかしゴーっという音が途切れなく続き少々耳障りだ。青函トンネルの説明で「継ぎ目の無いスーパーロングレールを採用しているため静か」と良く言われているが、自分はそうは思わない。

 青函トンネルに入ると夜のような闇が続くだけで、偉大な青函トンネルには申し訳無いが、車窓はつまらない。楽しみの1つは、車端部扉上に設置された、青函トンネル内の列車進行状況の表示板だ。青函トンネルの断面図にルートが表示され、進むたびにルートのランプが1個1個灯っていき、トンネル内のどの辺りに居るか解かる。断面図を見ると、地上の地形は急峻で、列車は海面を避け、緩やかに下るように走り、最深部に到達すると、緩やかに上るようなルートなのが解かる。最深部は240mだ。断面図の下に文字情報が流れる電光掲示板があり、青函トンネルの情報かJR北海道の商品情報が流れ続けている。

 目を凝らして竜飛海底駅の通過を見守って約10分後に、海面下240mの深さの青函トンネル最深部に達し、件の電光表示板で「海面下240m」と表示され、ルートの真中まで電球が灯っている。そして、左側のトンネルの壁に絵のような光が瞬く。ねぶた、札幌の時計台、丹頂などがフラッシュするように次々と現れ、「←次は海底駅→」と駅名標のような電飾が見え、間もなく吉岡海底駅を通過した。だが、そんな数少ない楽しみに興味を示しているのは鉄道ファン、観光客などごく一部の乗客のみで、そうでない人は暗闇の旅路に感心を示さず、眠ったり、お酒を飲んだりりなどして、退屈を紛らわすように過ごしている。

 列車進行状況表示板のランプが全て灯り、赤くなるとトンネルから脱し、地上に出た。だが、夜だから地上も暗かった。19時51分に木古内を出ると海沿いに出て、国道228号線と併走するように函館を目指す。右手は津軽海峡があるが、闇の中で揺らめく波が見えるだけだった。
津軽線内では何度も停車

津軽海峡線の一端を成す津軽線が
単線のため、何度も行き違いのため
の停車をする。
快速海峡、50系5000番台座席車車内


快速海峡座席車の車内。レッドトレイン
こと50系客車に新幹線車両のシートを
流用するなど改造した50系5000番台が
投入されている。
青函トンネル最深部、海面下240mに到達!

青函トンネル最深部、海面下
240メートルに到達!
快速海峡、50系のカーペットカー

50系客車の快速海峡のカーペット車。
快速列車の自由席のため運賃だけ
で利用でき、人気が高い。

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