関門海峡近代建築巡り・門司港編-2〜門司港レトロ,洋館…〜


旧門司税関の正面玄関

旧門司税関の堂々とした玄関。
旧門司税関
 第一船だまりから海へ通じる出入り口には「ブルーウイング門司」とい跳ね橋が掛かり、対岸に渡り歩くと旧門司税関がある。船だまりの岸辺に建つ2階建てのどっしりしとしたレンガの建物で、港町として賑わった門司港の風景をそのまま伝えているような佇まいだ。

 今は展示スペースや喫茶室があり、観光客や市民に広く開放されている。中に入ると、1階は屋根の骨組みまで見える吹き抜けの展示スペースで、2階は写真展が開催されていた。内部は古さを感じるというよりかは、現代風のレンガの建物といった感じだ。

 だが、現代風のレンガの建物に不似合な古いレンガの壁や、門司税関で使われていた柵なんて物も展示されている。この建物は1912(明治45)年に建てられ、昭和初期まで税関として使われていたが、その後、倉庫として使われていたり、空襲に遭ったりで大きく原型を損ねていた。しかし、往時の姿を再現しながら、現代的で、気軽に利用できるスペースへと生まれ変わった。

 外に出て、第一船だまり側に出ると、門司港の洋館群が見渡せるレトロな風景が広がっていた。門司港ホテル、門司港レトロ海峡プラザなど、現代の建物が目に入るのは致し方ないが、旧大阪商船、旧門司三井倶楽部などの洋館、少し遠くの方には門司港駅も垣間見え、船だまりには観光船も停泊し、港町として賑わったかつてを彷彿とさせるような、なかなかいい眺めだ。缶ジュースでも買って来て、どこかに座りのんびりと眺めていたい気もするが、今日の暑さではその気も失せる。

 門司税関を改めて外から見てみると、古くくすんだ感じで、年月の流れで表面を削り取られたようなレンガと、建物を復元する際に継ぎ足した奇麗なレンガはの差は明らかで、門司税関と門司港の歴史を見た気分だ。
 
旧門司税関。裏側が第一船だまりに面している。

第一船だまり対岸から見た旧門司税関。
国際友好記念図書館

国際友好記念館。中国、大連市の
「旧東清鉄道汽船船会社事務所」を
複製建築したもの。
国際友好記念図書館
 この建物は門司港の他の洋館、近代建築のように古くからあったのではなく、北九州市と中国、大連市の友好都市締結15周年を記念して、1994(平成6)年に大連市内の洋館を複製建築したものだ。その“大連市の洋館”とは、帝政ロシアが1902年に大連市に建てたドイツ風建築の「旧東清鉄道汽船会社事務所」だ。その後、所有が何度か変わり、現在は何と集合住宅として使われているという。いやはや、なんとうい洒落たな集合住宅なのだろう・・・・。

 赤いレンガと骨組みのような白い石材のコントラストが印象的で、尖塔や三角など屋根が複雑な形をしているのも面白い。ハーフティンバーや裏口1階テラスの赤っぽい木材は中華風というものだろうか?

 建物内部には、中国など東アジアに関する書籍5000冊を所蔵する図書館の他、大連料理のレストランなどがある。
 
旧逓信省門司郵便局電話課庁舎

旧逓信省門司郵便局電話課庁舎。
旧逓信省門司郵便局電話課庁舎
(現NTT門司営業所、門司電気通信
レトロ館)

 観光客で賑わうレトロ地区から少し離れた国道3号線にも、いくつかの古くユニークな建物がある。まず逓信省門司郵便局電話課庁舎を見に行った。

 1924(大正13)年に建てられた門司で最初の鉄筋コンクリートの建物で、デザインはドイツ表現主義に通じるものがあるという。

 一見何とも無さそうなコンクリートの古ビルだが、1階から3階に真っ直ぐ伸びる窓を囲む窪みが、ビルの角で90度カーブしながらも壁面に均一に続いている様が美しい。また、玄関は庇が台形状で、凸型の三角のアクセントがあるのは、さり気無いながらも意外と洒落ている。玄関は建物の大きさの割に小さかった。建築から半世紀以上過ぎているが、洗練された現代的な感じがするデザインで、古さを感じさせない。

 現在はNTT門司営業所として使われている他、門司電気通信レトロ館として使われ、大正、昭和の電信、電話などが展示されている。
旧逓信省門司郵便局電話課庁舎を見上げる

今でも古さを感じさせない建物だ。
旧門司信用組合

旧門司信用組合。玄関の丸い庇がチャームポイント。
 
旧門司信用組合(現門司信用金庫)
 NTT門司営業所から歩き、程なくして、半円形状の大きめな庇が可愛らしいコンクリートの建物を見つけた。それ以外の部分の壁面はフラットで、小さな窓がいくつもある平凡でシンプルな建物で、恐らく、この庇が無かったらこの建物に注目する事は無かっただろう。

 この建物は旧門司信用組合の建物で、1930(昭和5)年に建てられたという。今はこんなにシンプルな建物だが、説明板によれば、かつてはその他の装飾もあったのだろうと書いてあった。
 
旧藤本銀行門司支店
(現福岡中央銀行門司支店)

 門司信用金庫前の国道3号線を隔てた側にも、ユニークな建物がある。この建物は藤本信用金庫門司支店として1924(大正13)年に建てられた3階建てのコンクリート建築で、現在では福岡中央銀行門司支店として使われている。

 垂直線を基調として壁面に変化を与えた建物だが、より印象的なのはファザードだ。玄関の白い枠部分は、中に向って数段の段差をつけ、段々と狭くなっていくようなユニークな造りだ。庇上にある上部の丸い縦長の窓と、その上のギザギザの装飾などもあり、凝った造りのファザードとなっていて、小さな建物ながらも重厚な雰囲気をを漂わせている。
旧藤本銀行門司支店

旧藤本銀行門司支店
旧藤本銀行門司支店。重厚な玄関。

凝った造りで重厚な雰囲気が漂う玄関。

TOP旅の写真館

関門海峡近代建築巡り・門司港編[1]-[2]

my旅BOX-鉄道旅行と旅 Copyright (C) 2003 solano, All rights reserved.