輪島市無念!のと鉄道穴水-輪島間廃止(2)




能登三井からは山間の田んぼの中を走る。
長大4両編成輪島行き(続き)
 能登三井からは山に囲まれた狭い土地にある水田を眺めながら走る。土地が狭く傾斜地にも段状に水田が耕されている。そういえば輪島市には、海沿の急な傾斜地に何十にも積み重ねられたような階段状の水田,「白米の千枚田」という景勝地がある。沿線風景を見てると、条件は良くないながらも稲作が盛んなのを窺い知る事ができる。
 8分で能登市ノ瀬に到着したら、あと6分で終点の輪島だ。これまで地元の人が少しばかり乗降して、客数はそれ程変わっていなく空いている。水田を走り抜けると10時59分に輪島に着いた。バスのような料金表があり、1番から40番まで全ての欄がオレンジ色に輝いている。のと鉄道の全営業距離114.5kmの長さを感じる。

最後の輪島市民号
 輪島駅のホームに降り立つと、くす球や赤い絨毯、パイプ椅子などが見え、何かが行われようとしている。式次第の看板を見ると「ありがとうのと鉄道、輪島市民号出発式」と書いてある。穴水からお座敷列車が連結されていたのはこのためだと分かった。到着した列車が折り返すまで28分あるからその間に式典をするみたいで、係員が忙しそうに動き回っている。
 写真を撮っていると、改札口から輪島市民号の乗客が何十人とホームに入り、一瞬にしてざわざわと賑やかになった中年以上の人がほとんどだ。北日本放送や北陸放送など報道陣も来ている。そして輪島市長,のと鉄道社長、輪島駅長など列席の元、式典が始まった。初めは主催者の「輪島市のと鉄道利用利用促進協議会」の会長の挨拶だった。色々な話の中で、今回で17回目の輪島市民号だと言った。そして輪島―穴水間が廃止になることにも触れ「頑張ったけど、どうにもなりませんでした」と無念さを吐露した。私には忘れる事の出来ない、鉄道を失う人々の静かなる無念の叫びだ。
 その後市長、のと鉄道会長の挨拶が続き、花束贈呈、テープカット、くす球割と続いて閉会になった。乗客はがやがやお座敷列車に分乗した。後で調べたのでだが、和倉温泉までお座敷列車で行き、サンダーバードに乗換え山代温泉に行き1泊してくるツアーだった。11時27分に定期列車1両にに連結されたお座敷列車3両がホームから去った後は、静かな輪島駅になった。

輪島市ぶらぶら歩き
 列車を見送ると駅の外に出た。輪島市といえば私の中では朝市で、まだやってるかも知れないと会場まで歩き始める。駅前通りの改築、新築された建物は江戸時代の木造風で、古い町並みを再現している。伝統工芸の漆塗りの製品を売っている店が何軒もある。

 裏道に入ると重そうなリヤカーを引いた人を何人か見かけた。12時近くになり、朝市での営業を終えて引き返している人達だ。駅から15分歩き朝市の会場に着いた。もう12時近くで店は減っている。それでもオレンジ色のビニ―ルシート屋根が鮮やな露店が何軒も営業している。、その中から「いいものあるよ。見てって!」と威勢のいい声が私に飛ぶ。海産物、乾物、野菜、お土産など色々な物を売っている。

 1時間程で輪島駅に戻ってきた。先ほどはよく駅を見てなかったのでじっくり駅を見る。廃止になるローカル線の駅とは思えないほど立派なコンクリートの駅だ。駅舎の外には臨時改札口が3個ありかつての賑わいを偲ばせる。現在の乗客の規模に比せず待合室も広く、隣室はみどりの窓口もある。1977年の時刻表では定期急行列車で5本が輪島に乗り入れていた(途中で普通になる列車も含む)。これがゴールデンウイークだと8本も急行列車があった。駅は昔のまま立派でも乗客が少なかったら侘しさを募らせるだけだ。ここで来訪記念にのと鉄道のきっぷのセットを買おうとしたが、係員にさよなら穴水―輪島間の切符セットがあるのを教えられそちらにした。
 ホームに出ると今は1面1線しか使わていなく、構内の半分以上は使われていなく雑草が生えている。隣りにレールが剥がされた跡とホーム跡があり、上には植木がたくさん植えられている。古い輪島の駅名票があり、輪島の次の駅は「シベリア」だそうな(笑)
 次の輪島発の列車は12時42分で乗換え無しで七尾まで行ける。和倉温泉では名古屋行き「しらさぎ12号」、上越新幹線と接続する越後湯沢行き「はくたか13号」、1時間ちょっとで大阪行き「サンダーバード36号に」に接続する。
 穴水から来た2両の列車が折り返し七尾行きとなる。学生など地元の人の他、特急との接続がいいせいか、観光客やレールファンの姿も見られる。それでも2両のレールバスは混み合うこともなくゆったりした雰囲気で輪島駅を離れた。

[2001,3月訪問]


最後の「輪島市民号」の出発式の模様。
輪島駅駅長に花束が贈呈される。


輪島駅駅舎。立派なコンクリート駅舎。
かつては賑わっていた事を偲ばせるが、
今は廃止されるまでに凋落してしまった。


今日の営業を終え、朝市から引き返す
リヤカー。道端に止めて、持ち主さん
はちょっとトイレに…
 

ユニークな駅名票2種。輪島の
次は「シベリア」。もう一方は「朝市」
と書かれている。


七尾行き2両編成のワンマンレールバス。

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