扉絵イラスト第13弾。12弾と同様の表参道にある同潤会アパートです。 ファッショナブルな店が並ぶ青山の喧騒の中、交差点の角のその一角だけ異空間が広がってる・・・初めて訪れた時、この一帯に足を踏み入れてそう感じました。 レトロな意匠の扉や手すり。蔦の絡まるくたびれた外壁。 でもそんな棟屋の中は周りに負けないくらい個性的で煌びやかなお店が1つ1つの部屋を借りて開業していました。それはまるで学園祭のような感じでした。

       「何 か お も し ろ い」

 寂れてしまうのではなく、むしろそこを愛する人たちによって部屋は順番待ちなのだと当時聞きました。 もちろん老朽化のため電気・水道などのライフライン系にいろいろ支障はあるらしいのですがそれでもこの一等地で時代に取り残されるでもなく、むしろその古さを逆手にとってたくましく生きている建物に惹かれました。
 それからもう何年経ったことか・・・03年の3月に老朽化のため取り壊しが決まったそうです。その報を聞いて寂しい思いをしていましたが、つい先日1棟だけ移設保存されるというニュースを知ってホッ・・・としました。
 でも本当はあの一等地でさん然と我がもの顔で鎮座し続けていて欲しかったなぁ。
                                02.11.02