LOVE JUNK 哀しみ、傷み、優しさ。……そして、憎悪。 そういった感情をひっくるめて、そう呼ぶのかもしれない。 そんなものやろう、〃愛〃なんて……。 ――――その状況、環境によりどんな形へでも変化する。行き先の判らない感情。 ――――流れゆく時代と共に変化し続けて来た〃正義〃と同じだ。不確定な要素に満ちていて、何が正しいかなんて、何億年先になっても判りはしないだろう。 ――――未だに行き止まりに気づかずに闇雲に突き進むだけの文化の中で、〃正義〃を振りかざす奴は唯の馬鹿だ。 ――――そんなもの、幾らだって変革するあやふやなものなのに。 ――――人の感情を狂わせてしまうものなんて、何時の時代だって決まっている。……それは〃飢え〃だ。 ――――何時の時も人間は浅はかで愚かで、己の欲のみに従順で、〃誰かの為に〃なんて云っている奴程、エゴの塊だ。結局は、テメェの為に動いているクセに。 ――――大体、人間の文化なんて物は、本能に背く様出来上がった醜悪なそれだ。 ――――盗みを働く。人を殺す。人を騙す。…そういった、自然社会で脈々と受け継がれてきたシステムを捨てる事が理性であり、文化を築くことだと錯覚しているだけかもしれないだろう? ――――…人間だって、動物なのにな。 ――――本能を捨てる事が、人間としての最低限のモラルだとさ。 ――――何時、逸脱してしまうか判らない、不確定なシステムだってのに……。 では何故、人は〃誰か〃と一緒にいたいと思うんや? 孤独を怖がり、闇を嫌う。それが…人間やないか。 輪を作って生きろ…とは云わへん。…けど、作られたシステムに逆らわず、その時代時代に作られたモラルの中で生活する事も、大切な事やろう。そうやって生きる事で、おれ達は人を傷つける事を避け、周りと自分との間に調和を見出し、生きてるんや。それは悪い事やあらへん。寧ろ、円滑に大勢の人間が生きて行くための、最低限の基準や。 お前かて、そうやないか。それは正義感ではないかもしれへんけど、君は、社会から逸脱する犯罪者を捕まえてる。 ――――それは俺の本能さ。 本能?そんなら何か?お前は、社会のシステムからはみ出さん程度に、自分が許せん人間を、本能の赴く儘に狩っている…と、そう云うんか? ――――要するに、そういうことだろうな。 はっ!なんて我が儘な先生なんや。そんなんが大学で教鞭とってるなんて、世も末やな。 ――――だから、世紀末なんじゃねぇか。 ……でも、お前にとって、〃愛〃ってもんは、そんな淋しいモンなんか? それだけでは生きていけへんかもしれんけど、それなしじゃ生きてけへんものやと…おれは思ってるんや。…それなのにお前は…。なんや、虚しいわ。 ――――それだけでは生きていけないが、それがなれば生きていけない?なんだそりゃ。新しい暗号か? そんなの、唯の中毒患者と同じじゃねぇか、そういうのをなぁアリス、こう云うんだ―――― → BACK to INDEX → NEXT |