第1章 そして誰も集まらなかった

2月16日から17日にかけて、茶道部年寄り3人衆(マサルさん、岡Tさん、あ)は、「学生生活のフィナーレを飾るべく卒業温泉旅行に行こうじゃないの。」
と言う事で、前回の水上温泉旅行から間髪入れず、再び計画を企てた。そして、
「楽をしたいっ。」
と言う横着心と先輩の威厳(もう既に無いんですけど)を下々に誇示する為に小暮に幹事を任せ、僕達は楽しむ方に神経を集中する事にした。
旅行の参加メンバーは紆余曲折を経て、岡Tさん(通称虎狂)、マサルさん(通称すごいよマサルさん)、遠藤(通称豆Tさん)、菊池(通称石松権太)、小暮(通称犯罪者)、田辺さん(通称ピ○チュウ)、正木さん(通称抹殺鬼狗魅虎)、藤本(通称藻津男←もつおと書いてうざおと読む)、と僕になった。
そして遠藤の提案により、15日の夜から部室で飲み会を催す事になった。この飲み会は、試験お疲れ&卒論お疲れ&旅行前夜祭を兼ねた盛大な飲み会になる予定であった。そしてこの飲み会により、参加者全員が遅刻する事無く、朝一番から出発出来ると言う利点が有った。しかし予定は未定で決定ではなかった。夜の10時からの開始(されているはずだった)の所、僕はゼミの追いコンと重なり12時位に部室に赴いた。しかしそこには岡Tさん、マサルさん、遠藤が乾涸らびて生き長らえていた。聞く所に依ると、正木さんの陰湿かつ非常かつ冷淡な陰謀により、(自分が飲むのが嫌だからと言って)巧妙な人身収攬術を駆使して、悉く出席予定者をして欠席たらしめたのであった。(←なんて野郎だ。)さすが裏社会で暗躍するマフィアのボスだけはある。
この冷酷な処遇の渦中に取り残された4人は総メランコリック状態に陥った。そして地下のマグマが捌け口を求めて地中を彷徨うように、体内に込められ鬱積したエネルギーが、4人をビルディ→酒→睡眠へ誘(いざな)った。高野・あむみは自宅で、遠藤は高野邸で、おかわんは部室で就寝。そして翌日の朝7時15分の集合時間に集まる事は決してなかった。(僕は来たんですけど。)
皮肉な事に、遅刻をしないように提言した者達は遅刻をし、その提言を拒否した者達は定刻通りに着いたのであった。
結局の所、岡Tさんとマサルさんと遠藤は30分以上も遅刻をかました。集合時間から30分経たないと連絡を入れない先行組もアホである。先行組は取り敢えず浅草まで先に行く事になった。(浅草から東武線で日光に行く予定であった。)しかし昨夜の飲み会を破滅へと追い込んだ正木一家は、その素振りから罪悪感は微塵も見られず、其れ所か、
「何でワタシを30分以上も待たせるのよ。良い度胸ね。」
とでも言いたげな顔付きで御立腹の様相であった。端的に言うと遅刻する者口だすべからずと言う事だ。そして彼達を待っている間にラッシュアワーと重なってしまった事に対しても、甚だ憤慨していらっしゃった。時間通りに集まってもラッシュアワーに重なるので、謬念以外の何者でもない。まあ後程聞いた所に依ると、マサルさんと遠藤は目覚まし時計を消してそのまま寝てしまったと言うし、岡Tさんはいつもの遅刻なので非は有るのだが。
この茶道部員を震撼させた事件は、誰が諸悪の根元かについて、普遍論争の如く白熱した議論が繰り広げられたのである。

 

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著作:あむみ  st53189@srv.cc.hit-u.ac.jp(99年4月30日まで)
構成:おかわん okada@virgo.higashi.hit-u.ac.jp