あれやこれや

2010年09月30日
とり八へ行こう(魔笛2)


始めにちょっとコマーシャル.ただし,私とこの店とは何の利害関係もありません.一
昨日の帰宅途中,平井駅の入口付近にビラ配りのお姉さん.大抵のビラは飲み屋
さんかサラ金,はたまたコンタクトレンズの宣伝.いずれも私には無関係でビラは唯
のゴミに過ぎません.それに,うっかり美人の手などつかんでしまっては恥ずかしい
(2007.11.23 薄桃色のビラ).気の毒なことにポケットティシュならたまに貰う人もいる
のでしょうが,紙切れでは皆さん受け取り拒否.で,つい私もお姉さんを避けようと微
妙に歩く進路をズラしたのですが,お姉さん気付かなかったのか私の所までわざわ
ざ寄って来てビラを手渡そうとするのです.でも,私は初志貫徹.始めから受けない
つもりで歩いていたので,後からでは手が出しにくい.悪いなと思いつつも興味がな
い振りをして通り過ぎようとしました.その時です,そのお姉さん,私に向かって“失
礼しました”と言ったのです.我が耳を疑いましたが“あなたにとって興味の無いこと
で進路妨害して申し訳なかった”という意味らしいのです.こう言われると,私はいつ
も書いている通り女性に滅法弱い.この日はわざわざ戻ってビラを貰うのも変なの
でそのまま通り過ぎ,駅に入りましたが,明日また彼女が居たらビラは是非受け取
って上げようと心に誓いました.呑兵衛ではない私がビラを貰うことは彼女やその店
(多分飲み屋さん)にとってマイナスであることは間違いありませんが,貰うのは女性
に弱いことを売り物(?)にしている以上義務なのです.で,昨日の勤め帰り.居まし
た居ました.もう今日は避けません.でも,そのお姉さんは道路の向こう側で私の進
路に居るのはお兄さん.お兄さんでは予定と違ってちょっとガッカリですが,決意した
ことは守らねばなりません.そのお兄さんから受け取ったビラは案の定,私とは無縁
の“とり八”という焼鳥屋の宣伝でした.酒にもお肉にも弱い(女性に弱いのと多少意
味が違います)私が自分の意志で“とり八”に行くことは絶対にありません.焼き鳥な
んて,考えるのもおぞましい.ビラには“10月1日午後5時,新鮮でなければ食せない
味覚,大山地鶏のレバー.復活させます!”と書いてありました.平井駅付近の方
“とり八”に行きましょう.何故ならこのお兄さん.ビラを受け取った私に丁寧に“どう
も有り難うございました”と言ったのです.お姉さんといい,お兄さんといい,この従業
員の人柄(しつけ?)の良さ.きっと良い店に違いありません. 

前置きが長くなってしまいましたがこれからが本題.前に,畏れ多くもモーツァルトの
大傑作“魔笛”を“訳が分からない”と書きました.この訳が分からなさ加減について
は色々と本などに書かれています.改めて私が書くのは生意気ですが,魔笛のスジ
を余りご存じない方のために,その訳の分からなさ加減の解説をちょっとだけ.

1.開演早々,ヘビに驚いて気絶した意気地無しの主人公タミーノがいつの間にか
(おそらくヒロイン,パミーナの絵姿に惚れた途端)地獄の業火も濁流もモノともしな
い正義の英雄に豹変する.そんなバカな.

2.極悪非道のザラストロにさらわれた娘パミーナの救出をタミーノに依頼するのは
悲嘆に暮れるお母さん,夜の女王.この可哀想な夜の女王が,後半では徳と叡智
の支配者で正義のチャンピオン,ザラストロの暗殺を企てる悪の権化に成り下がっ
てしまいます.つまり途中で善悪が完全に逆転するのです.初めて見る時は訳が分
からなくなること請け合い.この点は有名で“魔笛”にはつきものの議論です.

3.夜の女王から付けられたはずの案内人である3人の子供達はいつの間にか,女
王とは無関係,誠意の助言者になってしまいます.この辺の説明は面倒ですが,見
ていて違和感を感じる部分でもあります“あれ,この子達女王の見方じゃなかった
の?”.

4.正義のヒーロー,タミーノは結局最後まで何もしない.よく考えると,ただウロウロ
して歌を歌っただけ.やったことと言えば,女性と口をきかないという意味不明の試
練に耐え(何が試練だ! 世の中には女性と話がしたくともロクに話も出来ない人だ
って居るのに),その後パミーナと手を繋いで魔笛の力を借りてちょっと歩いただけ.

5.3人の侍女,パパゲーノ,パパゲーナ,モノスタトスなど大勢の準主役が出るので
すが,いずれも,結局何の役割を演じたのか訳が分からない.

要は“魔笛”とは物語のスジなどどうでも良く,大勢の歌手達が沢山の歌を聴かせ
る,言ってみればガラコンサートのようなものだというのが私の理解.もっとも,オペ
ラとは多かれ少なかれそんなものですよね.それにしても一曲一曲は本当に素晴ら
しい.魔笛を鑑賞する時は何も考えてはいけないのです.







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