中村眞一郎は17歳で父を失い路頭に迷うかと、そこへ福永武彦が、
<第一高等学校へ入学しさえすれば、家庭教師と奨学資金とによって、大学を卒業するまでやって行ける。>
と解決策を示した。
<福永はやはり、自分が入試指導をしてやろうと、申し出てくれた。>
福永武彦は <引き受けた以上、徹底的に指導をやってくれた。>
中村眞一郎 「福永のこと」『福永武彦全小説 月報10』 p.6