有馬稲子がお種を演じた 『夜の鼓』 の撮影が進んでいた。
<「待って」 という台詞からキャメラがとまっちゃったんですね。それから一週間、もう毎日毎日 『待って』 から始まるんですよ。朝から … お昼ごはんになって、今度一時から始まって夕方までやって、… 『待って』 の言い通しなんですね」>
こんな日が一週間続いたとは…。
川本三郎 『君美わしく』(文藝春秋、平成9年第2刷) (p.324)