北海道廃線跡紀行(4)-名寄本線


在りし日の名寄本線(沙留駅)

在りし日の名寄本線。沙留駅に遠軽行き
が入線してくる。(1989,3)
名寄本線(遠軽−湧別、名寄)
 名寄本線は全区間は乗車してないが、沙留(さる)駅の目の前にある海岸で流氷を見たという思い出深い路線だ。

 その年は3月になっても流氷は接岸してなかったが、帰る3日前になって流氷が接岸したというニュースを聞き、紋別市役所に確認した。予定を変更し、その夜に急行「大雪」に乗り、遠軽から名寄線本線の1番列車で紋別に向かった。

 外は雪が降り続き、時折車窓から見える海は海ではなく、白い氷の大地だった。車掌さんから流氷だったら紋別より沙留駅のほうがいいよと薦められ沙留駅に向かった。(現在、北海道のローカル線のほとんどがワンマン列車で、このような車掌さんとのちょっとしたふれあいも今となっては懐かしい。)

 沙留駅に降り立ったら、雪で埋もれた海岸の向こうには一面無数の氷の塊で埋め尽くされていた。氷は大体1平方メートル以上の大きさはあり、人が乗ってもびくともしないくらい頑丈だ。流氷の上に乗っている人がいたので、私も真似し、調子に乗っていたら滑って転んでしまった。危ない。もし氷の隙間に見える氷点下の海に落ちてしまったら心臓麻痺で死んでしまいそうな程の空気の冷たさだから。

 あれから8年名寄本線跡はどうなっているのだろうと思い通りがかりに沙留駅の跡を探してみた。大体この辺りだろうと探していたら廃線跡が見えた。反対の興部方面に突然廃線跡が立ちはだかるかのように残されている。切り崩された廃線跡の急斜面をよじ登るとバラストがまだ残っている道床跡があった。廃線跡少し歩いた所にバス待合所があった。バス停の名前を見ると「沙留」だった。でも私の記憶ではもう少し海に近い気がし、周りを探し回った。だけどその一帯は道路工事が行われていて、駅らしきものは見つけられなかった。(後で知った事だが、やはり沙留駅はもう少し海側にあったようだ。)

 沙留駅跡の探索を止め、さらに南に進んでいたら駅舎が目に入った。渚滑(しょこつ)駅跡だ。正面には未だに「渚滑駅」と看板が掲げられていた。入り口の右横に「バス待合所」の看板があり、今はバス停として活用されていた。(※)

[1997, 9月訪問(日付明記以外)]

(※)追記:渚滑駅駅舎は取り壊されたそうです。
原野に残る名寄本線廃線跡

原野に残る廃線跡。
旧沙留駅付近

旧沙留駅付の道床。
渚滑駅跡のホーム側

旧渚滑駅<上、右>
ホーム側は埋められ、窓は板で塞がれている
が、往時の雰囲気をよく残している。ホーム上
には腕木式信号の切替機?まで残っていた。
ホーム上のポイント切り替え器

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北海道廃線跡紀行(4)名寄本線

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