桃花台線ピーチライナー


ピーチライナー車内。

桃花台交通・ピーチライナー車内。
桃花台線ピーチライナー
 小牧駅東口に出ると、ピーチライナーの値下げをアピールする旗黄色い旗がバタバタと風に揺り動かされているのが目に付いた。ピーチライナーは、桃花台ニュータウンへの足として1991年に開業したが、利用者数は伸び悩み、赤字続きだった。
 だが、上飯田連絡線開業の波及効果による利用者増を狙い、運賃の値下げに踏み切った。初乗り区間が200円→160円で、始発の小牧と終点の桃花台東間では350→250円へと大幅な値下げだ。
 名鉄小牧駅同様に、桃花台線の小牧駅も静かで閑散としている。ここでもトランパスの宣伝を目にし、桃花台新交通のトランパスはどんなカードなのかと楽しみにしていたら、名鉄のSFパノラマカードが出てき、少々期待外れだ。しかし、カードの表面に「桃小」と桃花台線、小牧駅で発行された事を示す略号が印刷されている。
 トランパスを手に改札を通ろうとしたら、頭上に「トランパス」と書かれた改札口があった。自動改札口機が並んでいるが、全部がトランパス対応ではないのだ。
 ホームドア付きのホームには、4両編成の列車が控えていた。新交通システムらしいというか、車両はマッチ箱のように小さい。座席配置は進行方向を向いた1-2の横3列で、バスの席のよううだ。
 昼時という時間のためが、ガラガラで、車内は最後尾車両まで見渡しがいい。先頭車の運転席横にも座席があり、前面展望が楽しめる。だが、横に運転士さんが座っていて、狭く閑散とした車内で、運転士さんの隣の席に座るのも気が引け、控え目に前から2列目の運転席斜め後ろの席に座る。それに、この空き具合なら、最前列の席にはたぶん誰も来なく、展望を遮るものは何も無いだろう。
 やはり、前の最前列の席には誰も来なく、空気輸送のような車内のまま出発した。一旦、地下から出てきた小牧線に合流し、次の小牧原駅を出ると、ピーチライナーは、小牧線をオーバークロスして、右に急カーブした。
 新興住宅街っぽい感じの風景を走るが、背後には緑の山々が連なり、果樹園もある緑豊かな風景に変わったりと、まるで田舎のローカル線に乗っているかのような錯覚も受ける。短い間隔で駅があり、こまめに停車していくが、ホームは小牧駅と同じように閑散としていて、乗客も減っていく一方だ。
 地下の桃花台センター駅に停車して、再び地上に出て、左手にピーチライナーの車庫が見え、中央自動車道をオーバークロスすると終点の桃花台東駅だ。ざっと見みると、僅か7、8人が下車したのみだ。

桃花台東駅
 終点の桃花台東駅には、方向転換のためループ線があり、到着した列車は前方のループ線に進み、ぐるりと180度カーブして、反対側の小牧行きホームに入線し、小牧行きの列車となる。このループ線は斜面の高台にあり、ホームから見ていると、住宅を眼下に、まるで空でループを描いているかのように見える。このループ線は、桃花台東駅の名物的存在で、そのためこの駅は中部の駅百選に選ばれた。
 ループ線を体験してみたく、運転士さんに「乗っててもいいですが?」と頼もうと、声が喉まで出掛かる。しかし、業務用の部分なので、だめだろうと思いホームに出た。下車後間もなく、列車は動き出しループ線に入り、宙でぐるりとカーブする。まるで遊園地のアトラクションを眺めるような気分だ。
 ホームを出て駅の外に出ると、周辺には高層団地が立ち並んでいるが、駅前のあまりの閑散振りに驚かされる。周辺は少し離れた所に商店街はあるが、駅前の至近に店は無く、駅はまるで人の流れから外れているかのようで、ゴーストタウンや、ローカル駅の駅前を連想させる。(昼時というのもあり、もちろん全ての時間帯がそうではないのだろうけど)。

ピーチライナーのライバル!?
春日井駅行きバス。

 駅に出てループ線を足元から見上げた後、歩いていると、電柱に「あおい交通」と書かれた広告のような看板と、バス停があるのが目に入る。あおい交通は2002年4月から、桃花台ニュータウン−JR中央本線春日井駅間のバスを運行しているタクシー会社だ。
 上飯田連絡線開通前、桃花台ニュータウンから名古屋市内に行く場合、ピーチライナー−小牧線−徒歩連絡で地下鉄平安通駅というルートより、春日井駅から中央本線に乗った方が利便性が高い場合もあった。そのため、春日井駅へのバス路線開設を要望する声は以前から強く、度々、運動も行われたという。しかし、他交通機関との「需要調整」を理由に実現しなかった。「他交通機関」とは、利用が伸び悩んでいたピーチライナーなのだろう。しかし、名古屋に行く人が全員ピーチライナーを選んでいた訳ではなく、自転車、家族の送迎などで中央本線経由のルートを利用した人も少なからずいたという。ピーチライナーの運賃が高かったなどの理由もあるが、小牧線経由のルートの利便性が良くなかったのは、ピーチライナーだけのせいではない。折角住民の足として開通したのに、敬遠されるピーチライナーもなんか気の毒だ。
 だが、バス事業の自由化により、桃花台ニュータウン住民有志が「桃花台バス運営会」を結成、準備を進め、小牧市のタクシー会社に運行を委託し、念願の春日井駅へのバス路線をようやく開設する事ができた。
 この他、中央自動車道のバス停留所「桃花台」があり、飯田発着などの長距離バスや、多治見−栄・名鉄バスセンター間のバスなどが停車し、住民に利用されている。この停留所は、桃花台東駅に近い。
 上飯田連絡線開通後、小牧線経由の利便性は飛躍的に向上したが、春日井駅行きバス路線も廃止とならず運行されている。ピーチライナー側は、前述のように上飯田連絡線の開業効果、運賃の値下げで利用者増を狙う。名古屋方面の交通機関として、3つの選択肢がある事になり、それぞれが共存の道を歩んでいるといった所だ。
 ピーチライナーの車庫を見に行ったりなど、ぶらぶらして、再び桃花台東駅に戻ってきた。乗降客が時々、出入りする程度で、駅の窓口もカーテンが閉ざされ、改札付近は静まり帰っている、トランパスを自動改札機に通したが、ブザーが鳴り通せんぼされた。トランパス対応の自動改札機では無かったのだ。
 帰りも行き同様に、乗客は少なかった。でも、運賃値下げ後、乗客は増えてるらしい。かすかな希望が見えてきた。

[2003,5月訪問]
桃花台線ピーチライナー車窓

沿線の新興住宅地を眺めながら走る。
前面展望。

運転席近くの席では、前面展望
が楽しめる。
桃花台東駅名物、方向転換用のループ線

桃花台東駅と、名物のループ線。
桃花台東駅側のバス停。

春日井駅行きのバス乗場。住民有志の組織
「桃花台バス運営会」による運営で、実際の
運行はタクシー会社「あおい交通」に委託。
背後は桃花台東駅。
桃花台新交通・桃花台線・ピーチライナー車庫

ピーチライナー車庫。

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桃花台線ピーチライナー

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