| 新しい大きな流れの中で国民の運動に求められるものは 一橋大学教授 渡辺治さんに聞く |
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ノー消費税 2009.10 第219号
それは、有権者は「政権交代」は求めたが、「構造改革」路線を正面から否定するものでなく、「国民いじめ」のひどい部分の改善を求めたのではないかと思えます。この点をしっかり考えてみることが大事じゃないでしょうか。 民主党という政党は 民主党は、98年に今の原型がつくられたのですが、小沢一郎現幹事長の当時の主張は、自民党と構造改革を競い、推進を求め、アメリカとの軍事協力についても、自民党より積極的で、軍国主義的な方向をとっていたことは、多くの方が記憶していることです。 ところが、小泉「郵政民営化」を頂点としてあまりにも構造改革の破綻がはっきりしてきたので、若手議員の多くが小沢氏の政策転換を求めました。消費税についても小沢さんは、98年の著書『日本列島改造』の中で、10%を公然と主張した人ですが、「消費税は上げない」と豹変したのです。こういうことは小沢さんだからできたことです。同じように消費税増税を求めていた岡田前幹事長も、増税発言を封印するようになりました。最近出版した本『政権交代』(講談社)のなかでは「消費税」に触れていません。 自民から民主へ政権交代がなされましたが、これは決して二大政党による安定した政治体制がつくられたわけではありません。アメリカの、共和・民主のような政策的対立はないのです。しかし、民主党は、これまで共産党・社民党の主張してきた後期高齢者医療制度の廃止、介護制度の改善と拡充、高校教育費の無償化などをマニフェストのなかで強く押し出し、消費税も4年間は上げないと公約しました。日米関係の見直し、労働法制の見直しにも言及しています。 財界・マスコミのうろたえと揺りもどし 財界・マスコミはこれまで民主党と自民党を「構造改革を競い合う政党」と見ていたのですが、これが変わったことに危惧を持ち、8月中は元の姿勢に引き戻したいという姿勢でした。選挙の結果を受けて、民主党を叩くだけではダメだ、「現実的であれ」と求め、批判していく態度になっています。 マスコミのなかには、マニフェストにこだわらず、豹変せよ≠ネどと言うものもあり、消費税については朝日新聞が「消費税論議封じるな」(9月4日社説)と書いています。一方で「大きな民主主義を育ててほしい」(9月6日社説)とも書き、読売新聞は米国際問題研究所日本部長のマイケル・グリーン氏の寄稿を掲載(9月6日)し「日米同盟かアジア(志向外交)のどちらかを選択しなければならないというのは民主党の幻想だ」と書き、「政権を握ったら話は別だ」と美辞麗句を捨て現実的解決策をまとめようとしているオバマに学べ、2010年安保50年を期し日米同盟の展望を示せ、とまで書いています。 彼らは、民主党が政権をとったのだから、自民党とうまくやれと「善導」していこうとしているのです。 国民の運動が行く手を変える こういうなかで、私たちは、国民の生活を守る政策の実行を求める運動、民主党の豹変を許さない運動がこれまで以上に大事になっていると考えるのです。 「構造改革」について言えば、アメリカでもイギリスでもフランスでもイタリアでもやられてきましたが、日本では劇的に悲惨な形であらわれました。餓死という問題、これはニ..ーヨークタイムズも「豊かな国日本で餓死が起きている」と大きく報道したほどです。年間3万4千人ものぼる自殺者。2万人は50代以上の働き盛りの男性です。貯金大国といわれた日本で、80年代にはほぼ全世帯の97%の人が貯金を持っていたのが、今、23%の人が「持たない」となっています。人生・生活に甚大な被害が及びました。 今度の選挙は、あまりにもひどい国民いじめの自公政治を変えたいという選択がされました。しかし、政権交代は望むが、構造改革はうまくやってくれという気分も中間層の間にかなりあります。 民主党がマニフェストを実行しようとすればぶつかるのは財源問題です。子ども手当、保育援助、教育援助などの社会保障の拡充財源はどうするのか、軍事費は削らない..。オバマ大統領からはアフガン支援の自衛隊派兵のみでなく、軍事費援助も求められています。大企業・富裕層への増税はやらない、とすると、社会保障関係の公務員の人件費20%カットなどをやらなければならない。そして赤字国債依存となるのではないでしょうか。 したがって、私たちは私たちなりの新しいレベルでの財源問題を考えて運動することが、情勢の行く手を変えていくでしょう。新しい大きな流れはつくられましたが、財界..国民の運動の拮抗、矛盾がいっそう激しくなるなか、消費税についても廃止した後の提案、イデオロギーを持つ必要があるのではないですか。政策的に対抗する政策を持つことです。 今でも7割近く占める民主・自民の勢力を直視して、これを崩していく運動、こちら側に引き寄せていく運動の構築が求められます。 個々の分野ではたたかいがすすんでいます。「派遣村」など、新しい大衆運動が注目を集めていますが、これらを大きく結集していきたい。ことに私は、若年層が運動に参加できるように期待しています。 民意を死票にする選挙制度の改悪は許さない 民主党は衆議院の議席の比例代表部分を80削れと主張しています。小選挙区制度をさらに進めれば、国民の要求は選挙で生かすことがすべて否定されます。選挙制度の民主化を求め、すべての分野の結集で阻止していかなければなりません。早く国民的な大運動にしていきたいと望んでいます。 (9月10日・談) |