「はあぁ。たりぃなあ。」
凍てつくような波音と空気の中。
なぜかオレは水の中に浸かっていた。
え?オレ?ああ、まだ名乗っていなかったっけ。
オレは・・・
「なにボケっとしてンだよロティ!」
「ぶわぁっ!?」
クソ冷たい海水を虎獣人であるジャンに掛けられて
オレの自慢の蒼毛が顔まで完全にビショビショに濡れちまった。
ジャン?マッチョなカラダが取り柄だけのアフォ猫(虎だが)野郎。
まあ・・・逞しいだけに夜のアレもバイタリティ抜群だな。
つーかよくこんな小さい黒海パンなんか履く気になったな・・・
水面からだから良く分らないが、水から上がったら濡れてクッキリ見えるぞ。
「コラァ!そこの二人!遊んでるんじゃねえぞ!!!」
もう痺れるような水の先に目をやると、よくプールサイドにある
監視台だっけな?そこに一人の灰色狼種の兄貴。オレの先輩が
セーファーのバイトであそこに座っているんだが・・・。
先輩、股間弄りながら、なんつーポーズで座っているんだよ。
あ、オレの視力2.0あるからバッチリ見えるぜ。
「ひゃぁっ!?」
「お前、なに硬くしてるンだ?」
オレが”ある一点”に釘付けになっている間に
いつの間にかジャンがオレに近づいていて
背後から股に触れられたオレは思わず声を上げた。
「な、なんでも無えよ・・・」
水で濡れたタテガミの雫が頬を伝って水面に落ちると
ジャンが”そっか”という表情でニカっと笑い
海岸の方へと泳ぎ始めた。
・・・アイツに寄られると、その・・・疼くんだよな・・・。
「コラ!ハウ!!お前もボーっとしてないで早く上がれ!」
先輩に怒鳴られビクッとする。あ、ハウ、ってのはオレのことで、
オレのフルネームはロティ・ハウルって言うんだ。
普通はみんなオレの事”ロティ”って呼ぶが、先輩だけは
何故かハウルを略して”ハウ”って言うんだよな。
「あ、ハイ!」
時計を見てみると(当然だが防水仕様だ)
水に入ってから大分時間が経っていた。
「へいへい。直ぐ参ります。」
いつの間にか監視台から降りて浜辺で仁王立ちしている先輩。
丁度赤いセーファーパンツが目印になり、自然とオレの水練速度が上がる。
え?何でかって?・・・そりゃあ憧れの先輩の赤パン・・・だしよ。
当然・・・
***********
「おおっ。美味そうだな!」
先輩がサマーベッド・・・バカンスじゃあるまいし
どこで用意したんだ・・・まあ、ベッドに横になりながら
オレが鍋を作る様を見物していたんだ。
何故か腰を前に出すように寝そべっているのが気になるが。
「先輩〜。コレって泳いだヤツが作るものじゃ
ないような気がするんですけど・・・。」
隣でジャンが体を拭いている最中、オレは濡れそぼった体で
菜箸を突付いて具を掻き混ぜている。
このまま風邪でも引いたらどうしようオレ・・・。
オレが締めている赤褌から水が滴り落ちて、思わず体が震えた。
「出来ましたよ・・・おおおおっ!?」
褌を思いっきり引っ張られて思わず鍋の前から動くオレの体。
その犯人は
「待ちわびたぜ!さあ食うぞ!!」
・・・食欲バカのジャン・・・。体も拭き終わって準備万端てか、オイ。
オレが崩れた褌を直している間にもガツガツと貪りつくジャン。
あはは・・・5人前用意していたんだが足りる・・・よな。
「おいハウ。ちょっと宿舎裏まで来い。」
口の周りを豚汁で濡らしながら身なりを整えるオレに
声を掛ける先輩。・・・ってもう食べていたのね。
「あ、ハイ分りました。」
何時行けばいいか聞く前に歩き出すオレと先輩。
こういうとき、先輩に”いつ”なんて言葉は無用だ。
ジャンはというと・・・横で鍋突付くのに夢中でオレたちのことに
全く無関心な様子。まあ、変にくっ付いて来られるよりマシか。
***********
寒空の中、オレは先輩の灰色の尻尾を見つめながら
後を付いて歩いていた。灰色に赤パンつーのも目立つな・・・。
その前側にはアレが窮屈に詰まっているんだろーなあ・・・
じゃなくて!
「おいハウ。」
急に振り向く先輩。
「うぉぁ!す、すいません!!」
「あ?」
オレの脳内妄想劇場を見透かされたのかと思ったオレは
思わず先輩に頭を下げていた。
「何言ってるんだ?・・・まあ良い。丁度宿舎裏についたんだ。」
何故か仁王立ちになって喋り始める先輩の言うとおり、
いつの間にか人気が全くない建物の裏に着いていた。
この宿舎は少し離れて山を背負っているから、
上に誰か居ない限り、といってもかなり高いから双眼鏡でもなければ
覗き見なんかは出来ないだろう。
「オレのことずっと見てただろ?見せてやるよ!!」
「!!」
見透かされる所かドンピシャでオレの願望を言い当てられ
顔を引きつらせながら硬直するオレ。
「海に居るときからずっとオレのココをチラチラと見てるんだもんなあ!
気づくなっつー方が無理だぜ。」
・・・因みに先輩の視力もオレと同じがそれ以上だったっけ・・・。
「カラダは正直だよな?」
「あうっ!」
大好きな満面の笑みを浮かべながらオレの尻尾を掴む先輩。
いつの間にかココロの中の喜びが尻尾に出て振られていたみたいだ。
「イイんですか?先輩・・・」
急に高鳴る胸の動機を抑えながら、落とした顔を
先輩の顔、寒さのせいか桃色に染まった胸先。
体毛が有りながらも盛り上がった腹筋と順に目をやり、
更に下にある真紅の盛り上がりへと視線を移す。
「見せてやるって言っただろ?」
今にもそのまま膝へと落としそうな先輩。
赤パンの端を引き誘っているようにも見えるその姿に
オレはフラフラと近づき、先輩の大きい手にオレの手も添えた。
to be continued...?