{メイドさんで巡る陸軍の世界}

90式戦車で遊ぼう130000接続記念

 

肉弾攻撃っ!

 

 今回の当コムテムツは、六三年九月二十一日に、HP「転換の接続詞」の「すずきてる」様が主催されました、「陸上自衛隊広報センター見学会」へ参加させて頂きました折のレポートです。

 「陸上自衛隊広報センター」の主展示品である新国軍の「90式戦車」と、制定年次が1年ほど早い国軍の「八九式中戦車」の比較をメイドさんを用いまして行なってみます。

 


鐡牛ですね。

 

メイドさん 「旦那様、『八九式中戦車』と『90式戦車』では、性能的にどのような違いがあるのでしょうか?」

所  長  「まずは、用兵思想の違いがある。『八九式中戦車』は歩兵直協を主に開発がなされているが、『90式戦車』は対戦車戦闘を主眼に開発されている点だよ。制定年号が1年だけ後に制定されただけで、主砲は九〇式五十七粍戦車砲からラ式120ミリ戦車砲と口径は二倍になっているし、速度も3倍以上の差がある。」

メイドさん 「あっ、あのう・・・。旦那様、1年の違いと申されますが、何か間違っているような・・・」

所  長  「メイドさん、間違ってはいないと思うよ。科学日本の技術の進化だよ。それに『90式戦車』はその巨大な車体重量を支えるために二重履帯を採用しているほか、如何なる状況下でも敵を発見する候敵機や、新型の複合装甲を備えているのだよ。」

メイドさん 「うぅっ・・・。にっ二重履帯・・・ですか・・・」

所  長  「そうだよ。巨大な車体を支えるために履帯の幅を大きくして設置面を大きくして車体重量を支えるのだよ。ただ、反対に欠点として足回りを敵に狙われると動けなくなる。そのために履帯の側面には側板を付けて敵砲火より履帯を守るようにしているのだよ。」

メイドさん 「だっ、旦那様、何かお間違えになっているような・・・」 

 

 

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八九式中戦車履帯部分

 

 

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90式戦車履帯部分

巨大な車体重量を支えるために、二重履帯を採用している。

 

 

★武装

メイドさん 「旦那様、『八九式中戦車』の武装の解説を御願いいたします。」

所  長  「『八九式中戦車』は歩兵直協戦車として開発された戦車で、主砲として『九〇式五十七粍戦車砲』を備えているほか、車体前面と砲塔後部に各一門ずつ『九一式車載機関銃』を搭載している。『九〇式五十七粍戦車砲』は短砲身ながら弾道低伸性に優れた短加農だよ。」

メイドさん 「旦那様、何故『砲塔銃』が後ろ向きについているのですか?後ろの敵を撃つのですか?」

所  長  「後ろの敵を撃つのではなくて、これは蹂躙戦闘時のときに『砲塔銃』を前面に回して、正面に対する機関銃火力を倍にするようになっているのだよ。」

 

 

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八九式中戦車前面

 

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八九式中戦車 九〇式五十七粍戦車砲

「九〇式五十七粍戦車砲」は短砲身ながら、短加農であり弾道の低伸性が良好の優れた戦車砲である。

 

 

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八九式戦車の「砲塔銃」(左)と「前方銃」(右)

蹂躙戦闘の時は、砲塔の砲塔銃を前面に回して、前方銃と併せて機関銃火力を倍にして敵を蹂躙する。

 

 

メイドさん 「旦那様、続きまして『90式戦車』の武装解説を御願いいたします。」

所  長  「『90式戦車』は対戦車戦闘を主眼に開発された戦車で、『八九式中戦車』と年号が1年異なるだけで主砲の口径が二倍以上の120ミリとなっている点が最大の特徴だよ。そのほかに『前方銃』を廃止したほか、砲塔後部にあった『砲塔銃』を主砲の脇に双連に装備した点も特色だよ。ただ空からの脅威に備えて砲塔上に『M二式対空対戦車兼用機関銃』が設置してある。」

メイドさん 「あっ、あのう旦那様。申し訳ございませんが『年号が1年異なるだけで・・・』と申されていますが、皇紀年号と西暦の違いのような・・・」

所  長  「メイドさん、今何か言ったかな?」

メイドさん 「いや、何も申しておりません。機関銃を主砲と『連装』に装備しているのですね。」

所  長  「メイドさん、陸軍は『連装』ではなくて『双連』だよ。『連装』なんていう海軍用語を使ってはいけないよ。銃砲を『双連』に装備する点は『九八式軽戦車』での技術が生かされているに違いないね。」

メイドさん 「うっ、何か絶対に時代的なベクトルがずれている・・・

所  長  「さらに『90式戦車』の銃砲は『熱源候敵器』に連動している点も特記事項だよ。」

メイドさん 「旦那様、『熱源候敵器』とは何ですか?」

所  長  「『熱源候敵器』とは敵の出す熱源を捕らえてその熱源を分析して砲塔の銃砲に射撃情報を送る新兵器のことだよ。主砲のラ式120ミリ砲は自動装填式の対戦車戦闘に優れた長砲身の戦車砲で、射撃統制用の電算機とも連動しており正確な射撃が出来るようになっているのだよ。『熱源候敵器』は砲塔後部に設置されている。」

 

 

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90式戦車 砲塔部分

候敵器連動のラ式120ミリ砲と機関銃が双連で装備されている。主砲の側面の蓋がなされている二つの孔は「照準孔」と「機関銃孔」である。砲塔上には「M二式対空対戦車兼用機関銃」がある。

 

 

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90式戦車の候敵機

敵の発する熱源を探知して、その情報を銃砲のに連動している射撃管制装置に伝える。砲塔内の機械操作で自動に隠顕するようになっている。

 

 

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90式戦車の射撃装置−1

全自動式の射撃装置であり、候敵機と連動しており、夜間戦闘も可能である。

 

 

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90式戦車の射撃装置−2

射撃転把部分の拡大であり、全自動化されている射撃機構と共に、候敵機との連動状況が良く解る一葉である。

 

 

★装備

  ・展望設備

メイドさん 「旦那様、展望設備の御説明を御願いいたします。」

所  長  「『90式戦車』のプリズム式の『展望孔』に対して、『八九式中戦車』は『回転展望窓』の『展望窓』を備えているのだよ。」

メイドさん 「旦那様、『回転展望窓』とは何ですか?」

所  長  「その前に、戦車の展望設備について説明してみよう。戦車の展望設備には『展望窓』・『展望孔』・『展視溝』・『展視孔』の四つがある。『展望窓』と『展望孔』は操縦手や車長の前面にある展望設備であり、『窓』と『孔』というように開閉部分の大きさで名称が異なるほか、直接目視やプリズム連動などの視察方式によっても色々と分類が出来る。続いて『展視溝』と『展視孔』は所謂外部観察用の『スリット』のことであり、『展視孔』は『拳銃孔(ピストルポート)』を兼ねている場合もある。」

メイドさん 「なるほど、四つの展望スタイルがあるのですね。」

所  長  「本題の『回転展望窓』に入ろう。『回転展望窓』とは別名『ストロボスコープ』とも呼ばれる新型の展望装置の事で、従来の戦車に見られる『展望孔(スリット)』による外界視察は、視野は良好に得られるものの敵弾による乗員の眼部の負傷が相次ぐもので、戦車兵にとっては重大な問題だったのだよ。そこで、『展望窓』のスリットの前にモーターで高速回転する穴の空いている装甲板を設置してあり、この高速回転している装甲板を通して外界を視察する方式だよ。もちろん、通常の走行時には『ストロボスコープ』を作動させずに『展望窓』自体を前方にハネ上げて広域の視界を確保するのだよ。」

メイドさん 「素晴らしい展望システムですね。」

 

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八九式中戦車 回転展望窓

接眼部の前に、スリットの開いた装甲板があり、モーターによる高速回転によって外部の光景を捉えることが出来る。別名「ストロボスコープ」とも言う

 

 

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90式戦車 展望窓゛

プリズム連動式の展望窓であり、視察能力は優れているものの蹂躪戦闘時などに、「ストロボスコープ」と異なり敵弾により破損や、敵の肉薄攻撃時に鶴嘴攻撃等で破壊される危険がある。

 

 

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八九式中戦車 砲塔部分

砲塔側面には、外部との連絡を兼ねた大型の展望窓があるほか、砲塔側面には車載機銃による対空射撃用の高射託架がある。

 

 

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90式戦車 天蓋部分

90式戦車の砲塔天蓋部分であり手前が「砲手天蓋」で、後方がプリズム式の展望装置が設置された「展望塔」タイプの「車長天蓋」である。二つの天蓋間には「M二式対空対戦車兼用機関銃」が設置されている。対戦車戦闘専用の戦車故に「拳銃孔」が皆無であるために、敵肉弾兵が砲塔上に飛び乗られた場合の苦戦は容易に想像がつくものである。

 

 

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八九式中戦車 各側面部

車体前面(上左)・車体下部左前(上右)車体左前面(下左)砲塔側面(下左)を捉えた写真であり、歩兵直協戦車であるために各部に近接戦闘に備えて「展視溝(スリット)」を兼備した「拳銃孔(ピストルポート)」が設置されている。

 

 

わっせっ、わっせっ・・・あっ、右のガーターが外れている・・・

90式戦車 砲塔側面部

90式戦車には近接戦闘用の「拳銃孔」が皆無であるために、乗員の勇気による決死の拳銃射撃や砲塔の急旋回で対応するしか方法がないために、「破甲爆雷」を持った敵歩兵の近接を許した場合の苦戦は相当なものであろう。

 

 

  ・照明設備

メイドさん 「旦那様、次は照明設備の説明を御願いいたします。」

所  長  「『八九式中戦車』と『90式戦車』ともに、夜間走行用に『前照灯』を備えている。ただ、『前照灯』だけを見ると敵弾よりの被害防止のために前照灯前面に蓋がついている『八九式中戦車』の方が実戦向きだね。」

メイドさん 「旦那様、『90式戦車』は「前照灯」がむき出しになっていますね。」

 

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八九式中戦車 前照灯

敵弾よりの被害防止のために「蓋」が取り付けられている。

 

 

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九〇式戦車 前照灯

砂礫の飛越による鏡面の危害防止の鉄網があるだけで、敵弾よりの防御方策は講じられていない。

 

 

  電気警音器

所  長  「メイドさん、『90式戦車』には、電気警音器がついているのだよ。」

メイドさん 「危険防止のための、クラクスンですね。」

所  長  「そのほかにも、蹂躙戦のときにも使えるよ。敵の大行李の駄馬縦列を攻撃する場合や乗馬騎兵を襲撃する時などに、警音を鳴らして敵の人馬を震撼させることも出来る。」

メイドさん 「あっ、あのう・・・、旦那様・・・。馬匹編成の大行李とか乗馬騎兵って現在も存在しているのでしょうか・・・」

 

 

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90式戦車電気警音器

車体前部にある「電気警音器(クラクスン)」であり危害防止のほかに、襲撃の折の音響発生により敵人馬を震撼させる効果もある。

 


 

所  長  「メイドさん、科学日本の粋を集めた『90式戦車』の前には、『M一』も敵ではないのだよ。『千屯戦車』を相手にしても十分に戦えるよ。『M一』の装備する『音響候敵器』に対して、『90式戦車』は『熱源候敵器』を持っているし、速度も速い。『M一』と違ってたんぼも走れるのだよ」

メイドさん 「旦那様、まさか『M一』とは『エイプラムス』ではなくて『M一重戦車』のことを言われているのですか?それと『千屯戦車』とは何ですか?」

所  長  「メイドさん、もちろん『M一重戦車』だよ。『千屯戦車』は蘇軍で開発中と伝えられる超重戦車だよ。」

メイドさん 「旦那様の頭の中は、昭和二十年で止まっていらっしゃいます・・・

 

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M一重戦車

 

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千屯戦車

 


時局柄、「戻る」はございません。