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特別攻撃隊−高千穂空挺隊

 

 日米決戦の天王山である「比島決戦」では二つの空挺作戦が行なわれている。前者は既に紹介している「薫空挺隊」と呼ばれた小規模の精鋭部隊を胴体着陸で敵飛行場に突入させた作戦であり、後者は国軍空挺戦史初の「高千穂隊」の通称号である「第二挺身団」を用いての大規模空挺作戦であった。

 比島決戦では、米軍機の跳梁が激しく決戦部隊の輸送・終結がままならぬ事態の為に、レイテ島の「ブラウエン」にある米軍の3つの飛行場(「ブラウエン北飛行場」・「ブラウエン南飛行場」・「サンパプロ飛行場」)と、「ドラク」と「タクロバン」の各飛行場に対して、空挺部隊を落下傘降下と胴体着陸により投入して、航空基地の機能を停止させると共に、地上軍がこれに呼応して米軍に対して総攻撃をかけるものであった。

 作戦は昭和19年12月6日より開始され、「第二挺身団」隷下の「挺身第三聯隊」と「挺身第四聯隊」は下表のように在比の5つの米軍飛行場に対して攻撃を敢行している。

 

部隊別攻撃目標一覧

攻撃目標 攻撃部隊 部隊指揮官 配当航空機 攻撃方法
ブラウエン北飛行場 挺身第三聯隊 白井少佐 輸送機17 降下
ブラウエン南飛行場 挺身第三聯隊 桂大尉 輸送機6 降下
サンパプロ飛行場 挺身第四聯隊 龝田大尉 輸送機3 降下
ドラク飛行場

 

挺身第三聯隊 竹本中尉 重爆2 胴体着陸
挺身第四聯隊 宮田中尉 輸送機7 降下
タクロバン飛行場

 

挺身第三聯隊 榊原大尉 輸送機2 降下
挺身第四聯隊 佐藤中尉 重爆2 胴体着陸

 

 戦闘の経過は、将兵の敢闘空しく敵の圧倒的な阻止火力に阻まれる結果となり、事後の空挺部隊は地上軍と合流して終戦まで辛酸を嘗めつつ、強力な米軍を相手に不屈・壮絶な地上戦を展開している。

 その後の「第二挺身団」であるが、12月6日の大降下作戦の後も「挺身第四聯隊」では、オルモック救援の為に約500名が集成した残存輸送機を持って12月8日から14日にかけてバレンシアに降下を敢行して、米軍と戦火を交えている。

 また南サンフェルナンドにあって、降下作戦を行なわなかった「第二挺身団」の約半数に当たる残余部隊も、第十師団の指揮下に入りバレテ峠の攻防戦を初めとした激戦に参加している。

 


 

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出撃前の高千穂部隊

「ルソン島」の「アンファレス飛行場」で出撃前の訓辞を受ける高千穂空挺隊。写真の装具から見ても一般の歩兵と異なり、かなりの重武装を読み取ることが出来る。

 

 

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作戦計画中の高千穂部隊幹部

立体模型を用い降下地点やその後の戦闘行動を協議中の高千穂部隊幹部。

 

 

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銃剣術の訓練中の高千穂部隊隊員

着剣した九九式小銃の列の前では、向かい合った二名の将校が軍刀を構えている。熱帯地の後方での行動の為に、全員「防暑略跨」を着用しており、手前の将校は「軍刀」の「鞘」を「略刀帯」から吊らないで、「刀差(通称「ズベラバンド」)」に差している。

 

 

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会食中の高千穂部隊員

待機中の兵舎内で会食中の隊員たちを写した1葉であり、車座になった将兵の前にはビールと見られる瓶が多々見られる。

 

 

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MC輸送機中の隊員

輸送機に搭乗した状態の空挺隊員であり、「降下外被」の上には新型の「四式落下傘」を装備している。「四式落下傘」は比島進出の高千穂部隊に初めて交付された国軍最新式の落下傘である。熱帯地を考慮してか、降下服の袖口が絞られていない点に注意。

 

 


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