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ノモンハン痛恨の低鉄条網

 

 「ノモンハン事件」で出動の我軍はソ軍設置の「低鉄条網」に悩まされ、特に機甲部隊は「低鉄条網」の鉄線に「履帯」をとられて行動不能となり、その結果「速射砲」での撃破という悲運を招いているのである。

 「ノモンハン事件」後、来るべき対ソ戦に対応すべく「陸軍歩兵学校−築城研究班」では昭和14年末に「鉄条網処理に関する研究」の名称で、実際に構築したソ軍タイプの「低鉄条網」に「九七式中戦車」を侵入させて低鉄条網の鉄線が履帯に与える影響の実験を行っているのである。

 具体的な「低鉄条網」に対する機甲部隊の対処は、「爆破」以外に「筵」・「天幕」・「アンペラ」等による「掩覆通過」や投擲した「カギ」等による「除去」が考案された。

 以下に「九七式中戦車」を用いての「低鉄条網」の鉄線の「履帯」への絡まる状況の写真を示してみる。

 


 

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ソ軍低鉄条網

 陸軍歩兵学校築城研究班が再現したソ軍の低鉄条網で、実物よりも太めの鉄線を利用して作製されている。

 

 

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ソ軍低鉄条網状況図

ノモンハンで用いられた輪刑と波形低鉄条網の設置状況であり、視界の悪く発見の困難な深い草原地帯に幾重にも設置されたこれら低鉄条網は、我が機甲部隊の履帯に有効な障害となったのである。

 

 

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低鉄条網帯に対する戦車突入の瞬間

 時速4キロの速度で鉄鉄条網帯に突入した瞬間で、すでに起動輪と第一転輪に鉄線が絡みついている。

 

 

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低鉄条網帯突破後の状況−1

幅長さ10メートル深さ8メートルの低鉄条網帯の突破終了の状況で、履帯部分全体に鉄線が絡みついているのが見える。

 

 

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低鉄条網帯突破後の状況−2

低鉄条網帯突破後、さらに600メートルの距離を走破した状況の戦車であり、起動輪と転輪部分に無数に鉄線が絡まりついている。

 

 

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低鉄条網帯突破後の状況−3

上の写真の履帯部分の拡大状況で、起動輪に絡みついた鉄線は操向作用を阻害すると共に速度低下をまねき、最終的に起動輪の回転を停止させる。

 

 

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鉄線排除の状況図

無数に絡みついた鉄線の切断作業はきわめて困難なために、履帯を切断して除去作業を行っている写真であり、下部転輪に絡みついたものは、転輪を外して除去がなされた。

 

 

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下部転輪軸に対する鉄線の作用状態

履帯に絡みついた鉄線は、戦車の進行と相成って逐次に下部転輪軸へと絡みついて「軸承」を破損ないし焼き付けを起こさせる。

 


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