{10000Hit特別企画}

特別攻撃隊斬込隊−薫空挺隊

 

 昭和19年10月20日より開始された比島「レイテ決戦」では、敵軍の航空機の跳梁が激しく、「決戦兵力」の集中・機動に先立ち敵航空の根拠地である「ブラウエン飛行場」制圧が「在比軍」での火急の問題となったのである。

 この「ブラウエン飛行場」制圧には国軍空艇部隊の鋭鋒「第二挺身団」が担当部隊であったものの、目下ルソン進出の最中のため、戦況の推移に急いだ「第四航空軍」では「ニウギニア」方面へ進出のため比島にいた「遊撃第一中隊」を「ブラウエン飛行場」へ強行着陸させて飛行場制圧の計画を立案したのである。

 「遊撃第一中隊」はニウギニア方面での遊撃戦を展開するために「台湾軍」が昭和19年に編成した「遊撃隊」隷下の部隊で「中重男中尉」以下80名の編成であり、「陸軍中野学校」で「遊撃戦課程」を終了した将校・下士官と台湾の「高砂族」出身の兵員より成る特殊部隊である。

 作戦は11月26日夕刻に開始され、「飛行第二百八戦隊」の「桐村浩三中尉」以下8名の操縦する「ダグラス輸送機」4機に、「中重男中尉」以下40名の「薫空挺隊」は搭乗して「リバ飛行場」を出発して「ブラウエン飛行場」へ出撃するも、1機は「バレンシア」に不時着し兵員は現地部隊の「第二十六師団」の指揮下に入り戦闘を継続するも、生存者は皆無である。

 残る3機も無事に「ブラウエン飛行場」に到着したかは不明であるが、「ダグラス輸送機」2機の残骸が「ブラウエン飛行場」東方16キロ地点の「ドラク海岸」で発見されたとの記録が残っている。残る3機の人員も生還者はなく「薫空挺隊」の記録は伝えられていない。

 


 

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比島状況図

 

 

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  訓練終了後の中中尉による訓示状況

 識別のために将校は「十文字白襷」、下士官は「片側白襷」、兵は「白腕章」を付けている。

 

 

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義勇刀で白兵訓練中の高砂兵

「高砂族」出身の隊員は、「部族伝来」の「義勇刀」を腰に帯びている。「雑嚢」と「昭五式水筒」をタスキに掛けた上から「九二式背負袋」をリュックスタイル(通称「挺身結び」と呼ばれる)に背負い、さらに胸前に「爆薬」・「爆雷」・「焼夷弾」を納めた「雑嚢」を付けている。腰には「三十年式銃剣」と「騎兵用弾帯」を装着。

 

 

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爆破訓練の状況

 密林から飛び出して、「爆雷」に点火して敵陣地へ投擲する訓練状況。「爆雷」に点火の発火煙が上がっている。

 

 

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斬込訓練

腰に「義勇刀」・「三十年式銃剣」・断崖登昇の「麻紐」をつけ、「三八式歩兵銃」(実際には「三八式騎銃」を使用)を持って疾走する薫部隊員。「鉄帽」の星章には夜間識別のために「蛍光ラジウム」の「夜光塗料」が塗られていた。

 

 

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隠密炊爨訓練

  敵に「炊事煙」を悟られないように、土中に「飯盒」を埋めて「炭」を用いての「無煙隠密炊爨」を訓練しているところ。

 

 

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出陣式に際して万歳を唱える薫空挺隊

「中中尉」を中心として、万歳を唱える空挺隊員。

 

 

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出陣式に際しての中中尉−1

「第四航空軍司令官」の「富永恭次中将」と握手しているところ。

 

 

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出陣式に際しての中中尉−2

「富永恭次中将」より陛下御下賜の御酒を頂き、皇居揺拝と乾杯の後に万歳三唱を行い出陣式が終わる。黒く染めた「軍手」や袖の夜間式別様の白線が見える。腰の「略刀帯」の上に「ブローニング拳銃」を携行している。

  

 

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出陣式での石田曹長

「アサヒグラフ」の表紙にある出陣式における「石田曹長」の写真。「九五式軍刀」を左手に持ち、右手にて「陛下」御下賜の清酒で乾杯の状況。「薫空挺隊」の軍装がよくわかる写真であり、右手に「時計」・左手に「九三式羅針儀」・右肩から左腰に下士官識別の「白襷」・袖に夜間識別用の「白線」・・・。それと可動性を増すためか「防暑衣」の裾を「防暑跨」の裾の中に入れています。「将校」・「下士官」は正確な時刻把握のために首からは「航空時計」を紐で下げております。それにしても7連の「略綬」とは・・・

 

 

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出陣式で万歳を叫ぶ高砂兵

訓練時と異なり、全員が密林戦を考慮して深緑色に染められた「防暑被服」を着用している。腰に巻いた「騎兵弾帯」の様子がよくわかる写真である。

 

 

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出撃前における訓示

「富永司令官」を招いての儀礼式典が終了して、夕方の出撃に際して「中中尉」から最後の部隊訓示がなされた。訓練と異なり、兵員は「三八式騎銃」を装備している。

 

 

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ダグラス輸送機へ搭乗−1

 訓練時の写真と思われる。右端は加来少尉。

 

 

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ダグラス輸送機へ搭乗−2

 

 

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搭乗後の薫空挺隊員−1

 通路中央にいるのは「加来少尉」。密林戦用に黒く染めた軍手を着用している。それにしても天下の「ダグラス輸送機」のシートが「革張」ではなく「藤」で編んである「代用品」とは・・・。それとよく見ると「鉄帽」も「鉄帽覆」を付けている人と付けていない人がいるぞっ・・・汗

 

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搭乗後の薫空挺隊員−2

 

 


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