朝鮮国境警察隊
「滿洲」と国境を接する朝鮮北部の治安維持にあたる「朝鮮国境警察」は、「ゲリラ」・「匪賊」の襲撃以外にも「密輸摘発」・「防諜」等、少数ながらも軍隊同様の組織力と装備を駆使して警察行動を遂行した。
国境の川である「鴨緑江」を挟んだ広大な警備地域をもち、徒歩での渡河が可能な冬の河川結氷期の苦労は並大抵のものでなかったと伝えられている。
*当コンテンツにては、現在多岐に使用されない表現等がありますが、思想的意図等はまったく無く、唯歴史的観点より当時の標記を用いていることをご了承下さい。
駐在所風景(場所不明)
建物の周囲を「石塁」で囲み、さらに周囲に「鉄条網」を張り巡らしている。襲撃を受けた場合、人数の少ない駐在所では「望楼」と「石塁」を盾に、本署からの「救援隊」の来援まで持ちこたえなければならなかった。
検閲風景
警察所長の検閲を受ける駐在所勤務の警察官。昭和10年6月の「勅令第一六七号警察官及消防官服制」で制定された「昭和十年式制服」を着用している。
駐在所風景
写真は「滋城署延豊駐在所」の「望楼」である。「望楼」は平時の警戒から非常時は有効な火力拠点ともなる。
防備作業を行う国境警察官
河川の結氷期にそなえて、警察署の防備作業を行う警察官。「石塁」を築くと共に、その周囲に「鉄条網」を構築している。
防戦訓練中の駐在所警察官−1
鉄条網後方の「塹壕」で「軽機関銃」を装備して防戦訓練中の状況。
防戦訓練中の駐在所警察官−2
「塹壕」に籠り「軽機関銃」を核として防戦訓練を展開中の状況。
通信連絡中の巡察警察官
既存の電話線を利用しての通信連絡の光景であり、左右では2名の警察官が警戒に就いている。
伝書鳩の放鳥
襲撃等の非常事態の折りに、電線切断による通信阻絶に備えて多くの「駐在所」では「伝書鳩」が装備されていた。この写真では「鳩舎」の前には警戒用の「警察犬」がおり、後ろにいる割烹着姿の夫人の一人は拳銃を装備している。
船着場警戒
「渡船」で「滿洲」側から渡航してきた商人を検査中の光景で、「鉄帽」・「三八式騎銃」・「三十年式銃剣」と陸軍と同一の装備をしている。警戒のために二人一組となり、1名は銃を擬している。
商船を検閲中の国境警察官
商船の船倉を検査中の光景。服装から見ると夏季のようであるが、川から吹き込む冷風を避ける為か警察官は「雨衣」を着用している。
プロペラ艇
少ない人員で広大な地域を警戒し、かつ迅速な移動のために「平北警察署」には「プロペラ艇」が配備されていたほか、空中捜索のための「航空機」も所有している。
警察官家族の射撃訓練風景
非常時の場合は警察官家族も武器を採る必要性から、警察官家族に対しても銃器の使用訓練が行われていた。場所柄かスタンダードな「ブラウニング自動拳銃」にまじり、「モーゼル大型拳銃」が見られる。右から2人目の夫人は「ウエブリー拳銃」を構えている。