格納庫
                                               
2017.05.09(イノシシ物語)

     あれは昨年の秋も終わりに近い頃、オレが毎日走る山裾のランニングコースに団地の大きな調整池(ため池)がある。
   そこに或る小さな異変が発生していたのだ。

   多分オレが気付く随分前からそいつは居たと思われ、時々近くのジジイが調整池のフェンス越しに餌を投げ込むのを見ていたからだが・・・。
   オレはてっきり鳥か何ぞに餌をやっているモノだと思っていた・・・。しかしそれは、実はイノシシにやっていたのだぁ!!。

   その調整池は約80メートル四方の結構大きなため池で三分の二は沢山の葦で覆われ、四方を高いコンクリートブロックとフェンスに囲われている。
   ・・・なので、イノシシなどの動物が一旦このため池にハマれば抜け出る事は不可能に近い、では一体どこからこのイノシシは入ったのか?・・・。
   このため池には一ヶ所だけ山側から幅約2メートル程の水路が流れ込んでいて、そこから誤って入り込んだとしか考えられない。

   この水路の流入口はため池の水面より2メートルほど高くて、オマケにコンクリートで固められているのでとても這い上る事は出来ないだろう。
   此処で毎日イノシシは葦の根や投げ込まれた餌を食いながら、スクスク盛りモリと大きくなっていったのだぁ・・・^^。
(笑い事ではない)

   これまでの季節は秋から冬そして春と渇水期に辺り、ため池の水位も低くて一部乾いた土も露出し、そこへイノシシは葦を集め寝床をこしらえ悠々自
  適の暮らしをしていたのであるが、しかし此から先は雨期を迎えての出水期となり、ため池の水位もグングン上って葦の寝床も水没して、とてもイノシシ
  が休む場所などは確保出来ないと思われ・・・。

   いくら畑を荒らし回る害獣(イノシシ)といえども、このまま放置すればやがては水に浸かったまま衰弱して死ぬのは明かである。そこでオレは何とか
  山に返しては貰えないかと市役所に掛け合ってみると、オレと同じような電話が何件もあったそうで役所も処理に頭を抱えているみたいだ。

   オレは殆ど毎日走っているのでイヤでもイノシシが目に入る。近頃は朝早くに走っているのでヤツはいつも葦の寝床で寝そべっているが、オレの足音
  を聞き付けるとムックリと頭をもたげてオレを見る。オレも立ち止まって無言で大きく両手を振る、すると最初は驚いて葦の中へ逃げ込んでいたのだが
  今では全く動じる風もなく再び頭を下ろして休んでいる・・・。友達とでも思っているのかぁ??。
(同類だべぇ(笑))

   しかし、それでも時々葦の中に入り込んで発見できない時には心配になる・・・。^^;