六日目
10月
1日 木曜日(晴れのち嵐)7時30分
「カムイの森」発進。
朝食を食べながらテレビの天気予報を見ると、今日の午前中は晴れのイイ天気だが午後からは日本海に発生した爆弾低気圧が北上して関東東北
地方は大荒れらしい・・・。^^;(ヤベェなぁ・・・少しでも早く東京に着かんと・・・)
空は雲一つない晴天だが、いつもの抜けるような青空とは違って何となく濃いネイビーブルーを思わせる不吉な青に見える。(気のせいかぁ?・・・)
オーナーにお礼を言って松尾八幡平ICを目指して走り出す。「今日は長丁場だが、よろしく頼むよぉ」とオレの愛機にそっと触れる・・・。^^
少し行くと正面に岩手山が真っ青な空を背景に、大きくモノ凄く綺麗に見えてくる。(お別れの写真を撮るべぇ・・・また来ますよぉ^^)
岩手山

7時45分 松尾八幡平IC到着
さあーいよいよ東北ロングツーリング最後の走りだぁ〜。気を引き締めて安全運転で行くべぇ・・・午後の天気が心配だけど・・・。
東北道を走り始めてすぐ、右手に岩手山と八幡平が綺麗に見えてくる。今回は八幡平に行けなかったので写真だけでもと思うが、高速道路だから
路肩に駐車できない・・・^^;先のSAで撮ろうと向かったが結局、干渉帯の樹木が邪魔で撮れなかった・・・。(残念だぁ・・・でもまた来るよ・・・^^;)
花巻にも寄れなくて残念だが、またいつの日か来たいなぁ。(八幡平と花巻は次に取っとくべぇ・・・(笑))
天気は今のところ晴天で有り難いが、西に向かうにつれて風が強くなって来た。西の空の雲が段々濃くなって行く・・・。(心配だのぉ・・・)
11時45分 二本松IC到着
ここにはオレが二十一の頃、半年ばかりお世話になった家がある筈だ。午後からの天気は気になるが急いで行ってみよう・・・。
二本松ICを離脱して安達太良山麓の岳温泉に向かう国道459号を10分程走って毘沙門堂バス停を目指す。
不思議な事にこのバス停の名前だけは良く覚えている。しかし、今も有るかどうかは分からんバイ・・・。^^;
15分走っても見つからん場合は帰ることにしよう。・・・国道は昔とあまり変わっていないようだが果たして見つかるかぁ?・・・。
バス停は右側のこんもりとした祠の先だった。(よっく覚えている、オレは昔バス停からこの家まで500m程を歩いたんだから・・・^^;)
少し行くと右側に見覚えのある祠と少し広いバス停車帯が見えてきたぁ^^。「オオーここだぁ!!」オレは一旦止まってバス停を確認する。
「毘沙門堂」間違いナイ・・・。この先直ぐに左の山へ入る3m程の狭い道があるはず・・・「オオー有ったぁ!!」此処は昔と変わっていない。^^
離合も困難な狭い道を少し上って行くと右側に一軒新しい家がある・・・。この家は昔は無かったが近頃建ったようだ。
その上に家が一軒ある。家は建て替わっているようだが場所はそのままだぁ。「オオ〜懐かしい・・・^^四十五年ぶりだぁ・・・」。
「家への登り口まで来たがこのままバイクで登って行く訳にはいかんべぇ、チョックラ上でUターンするべかぁ」これがヤバかったぁ・・・^^;。
「狭い上り坂でのUターンは危ないべぇ・・・」その通り!!・・・ハンドルを切り過ぎてあえなく右へバイクが転倒・・・(アッチャー
やってしもおたぁ(涙))
幸い立ちゴケ状態だったんで怪我もなくバイクを起こそうとしたが、坂の下側から上には300キロ以上ある荷物を積んだバイクはオレ一人では到底
起こせない・・・。(汗) オレは助けを呼ぶために家へ向かうと、そこには偶然仕事で来ていた役所の人が3人・・・。「おお〜助かったぁ^^」
最初はビックリしてたが事情を話すと快く手伝ってくれた・・・。(ありがとうございます・・・(感謝))
バイクを起こしたまでは良かったがしかし、またその後がいけない・・・。すぐ下の少し広くなってる場所に駐車しようと足を着いた途端「ズル」っと石に
乗った左足が滑ってあえなく今度は左へ転倒・・・^^;。(そこは下り坂の大きな砂利が敷かれた路肩・・・)
またまたバイクを起こすのを助けてもらう・・・。ホントに情けない・・・疲れて体力が落ちてるとはいえ続けて二回もコカスなんて・・・。(涙)
(でも、良かったよなぁ助けてくれる人が居て・・・ありがとうございます^^;)
やっと安定した場所にバイクを止めて、懐かしい家へ登って行く。すると下での騒動を聞きつけたのか家の人が出て来た。^^;
オレは挨拶もそこそこに、昔この家に下宿していたモノで、旅の途中に懐かしくて訪ねてきた事を話すと、ビックリしてご主人を呼びに行く・・・。
出て来られたご主人は五十代半ばの方で、オレの名前を覚えておられた・・・。(うれしかったなぁ・・・バイクは2回こかしたがぁ・・・^^;)
オレが居た頃は小学六年生で「イチロー、イチロー」と呼ばれていたことを話すと嬉しそうに頷いて、当時生まれたばかりの子牛にオレの名前を付け
たことも思い出してくれた。^^
「家に上がって行け、上がって行け」と誘われたが、このあとの予定を話し心残りはするものの十五分程の立ち話で別れた。
別れ際に「もう一度こっちへ来てくれ、その時は泊まってくれ」と声を掛けられたが本当にうれしかったなぁ。(来てよかったとツクヅク思ったぁ^^)
ご兄弟みなさんにくれぐれもよろしくと言い残し手を振って別れた。^^(ありがとうございました。・・・しまったぁ電話番号聞いとくんだったぁ^^;)
12時45分 二本松IC
さあ心残りはない、これから東京まで走るぞぉっと意気込んではみるが・・・。しかし、二回コケた身体のダメージはかなりある、足が滑った二回目の時
身体も倒れて左肘と肩が痛いしバイクを起こす時に体力をかなり消耗している。^^;
今のところ空は晴れているが風は急に強くなって関東の空は一段と黒い雲に覆われ始めた・・・。今からオレはそこに突っ込んで行く・・・。(汗)
白河の手前に差し掛かった時強い風から急に突風に変わった。時々バイクが突風に煽られて持って行かれそうになる・・・。(汗)
雨はまだ降って来ないが黒い雲は低くなり、いつ降って来てもおかしくない、SAで早めに雨具を装着する。(これで一応安心だが・・・)
突風でふらつくバイクを膝を締めて必死で押えて走る。那須高原に差し掛かると暗い空から雨が落ちてきたぁ・・・。(とうとう来やがったぁ・・・(汗))
その雨がアッという間に突風を伴った豪雨に変わる・・・。バイクの速度は70km以上は危なくて出せない、横を走る車も80kmが精々らしい。
激しい雨がヘルメットのシールドを濡らし内側が曇り始める。(曇り止めは塗ってるが役に立たん・・・)
気が付くと朝飯を食って以降何も口にしていない。しかし、空腹は全く感じない。食ってる暇も休んでる暇もナイ、とにかく東京港まで頑張らんと・・・。
でも尻は痛くなる・・・。^^;走りながら風の様子を見ながら時々尻を浮かせたり立ち上がったりを繰り返す。^^;
お尻の休養はSAで燃料補給の時に辛うじてトイレに行く時だけだぁ・・・。(苦しいが頑張らんと・・・)
この嵐の中18時30分までに東京に着けるのかぁ?船は出るのかぁ?不安になるが・・・。(オレは必ず着く、これより苦しいことはいっぱいあったぁ)
まだ15時30分を過ぎたばかりだというのに辺りは薄暗く夜のようだ。雨は止む気配は全くない強くなるばかりだぁ。
浦和料金所はまだかぁ?宇都宮から浦和までがモノ凄く永く感じる。
東京に入れば少しは雨も風も収まるだろう・・・。(・・・と思ったのは大間違いだったぁ・・・(涙))
16時00分 浦和料金所到着
オオ〜やっと着いたぞぉ・・・^^。あとは首都高に乗って一時間頑張れば東京港だぁ。しかし、首都高の渋滞情報を示す電光掲示板には赤い文字が
いっぱい並んでる。(アレー1時間じゃ着かんバイ・・・(涙))
それでも何とか川口JCTを過ぎて中央環状線に入るが一段と風雨が強くなる。首都高は高架部分が殆どで高い所を走ってる、それに中央環状線は
吹きっさらしの荒川のすぐ傍を通ってるから余計に風が強い。(計算外・・・^^;)
やっと湾岸線に入り新木場ICが見えて来たぁ・・・^^;(・・・助かったぁ〜一時は死ぬかと思ったぁ・・・^^;)
あと十五分程で東京港に着くうれしい・・・。^^
17時30分 東京港到着
あの嵐の中、渋滞でゴチャゴチャした夜の首都高を一度も間違えずに走れて本当に良かった。
一度でもルートミスすれば18時30分までには到着できなかっただろう・・・。
ここまで無事に着けたのも皆さんのお陰だぁ・・・。66歳のジィ様には奇跡だぁ・・・^^;。(感謝します。ありがとうございます)
後で知ったがこの日の東京は大荒れだったらしい・・・。
船のテレビニュースで言ってた。^^;
さて、東京港には無事着いたモノの、暫くオレは放心状態で乗船手続きもせず待合室でボーっとしとったぁ・・・。^^;
突然腹が減ったのを思い出したが、この嵐でレストランなんか全て閉まってる、どうしよう・・・。そうだ!鰺ヶ沢で買ったおにぎりが一個残ってる!!。
雨で濡れたアタックザックの中からおにぎりを取り出し夢中で食ったぁ・・・うまかったぁ・・・。^^;(賞味期限なんて関係ナイ・・・(笑))
やっとヒト心地ついて乗船手続きを終わり、18時30分再びカッパを着て豪雨の中フェリーに乗り込む。(バイクはオレ一台だけ・・・^^;)
早速客室に入り19時30分の出航までの間に濡れて疲れた身体を癒そうと一目散に風呂に駆け込む。(ああ〜気持ちがイイ
〜やっと生き返ったぁ)
風呂から帰って寝る準備をしていると船長の船内放送が始まる。「今夜から明日早朝にかけて悪天候のため船が大きく揺れると思われます。酔い止
めなど早めの準備をお願いします」。風呂も21時で閉鎖だそうだぁ・・・。
^^;
早速オレは酔い止めの薬を飲み寝ることにする。今日の嵐の中の走行で心身ともに疲れ果てていたオレは、明日の朝まで泥のように眠る・・・。^^;
オレが寝てるあいだ船はモノ凄く揺れたらしいが、殆ど憶えていない・・・^^;。オレは夢うつつの中で船が大きく揺れるたびに、揺りかごに揺られて
いるようなそんなイイ感じがしたのを微かに覚えている^^。(揺れるたびにああー気持ちがイイ・・・と思ってた(爆))
六日目走行距離 613km(岩手県ー東京都)
燃料補給 2回
立ちゴケ 2回 (アチャ・・・^^;)
七日目
10月 2日 金曜日(雨のち晴れ) 船中泊 6時00分
空腹のため目が覚める・・・^^;。昨夜東京港でおにぎり一個食ったきりで腹はペコペコだぁ。(涙)
しかし、明るくなった海を見るとまだ相当に荒れている。トイレに行く時も何かに摑まっていなければスムーズに歩けない。
この状態で何か腹に入れると即トイレ行きだなぁ・・・^^;。(もう少し時化が収まるのを待とう・・・午前中には収まるべぇ^^;)
10時00分
次第に空も晴れて、波も随分収まって歩くのにも支障が無くなってきたぁ。「よしっ、これくらいでイイだろう」とオレは食堂に向かい自動販売機で焼き
ソバとカツサンドを買って備え付けのレンジで「チーン」して、一日半ぶりにまともな飯を食ったぞぉ・・・^^。(うまかったぁ〜(笑))
午後からは本を読んだり、ウタタ寝したり、昨日の緊張と苦労が嘘みたい・・・。(笑)
今日はゆっくり風呂に入ってテレビを見ながら寝ます・・・。
八日目
10月 3日 土曜日(晴れ)6時20分 新門司港接岸
オオー着いたぞぉ・・・^^。八日ぶりの九州の地へフェリーから走り出す。
やっぱりこっちは暖かい、途中でネックウォーマーを外して高速道路へ向かう。
6時45分 新門司IC
さぁーこれがツーリング最後の走りだぁ。安全にゆっくり帰ろう・・・。(笑)
晴れの高速道路を快調に走り抜ける。(ホントによく頑張ってくれたなぁ・・・ありがとうオレの愛機よぉ・・・(感謝))
7時15分 鞍手IC離脱
高速道路から走り慣れた県道に下りてやっぱり「ホット」する。^^
先のコンビニで朝の熱いコーヒーとパンでも食うべぇ・・・。(コーヒーがうまかったぁ〜^^)
・・・ゆっくり走り出す。
7時50分 基地帰還
オオ〜帰って来たぁ〜。(うれしい^^)
ナンか今日までの八日間が夢みたいだぁ・・・^^;。(無事に帰還させて頂き感謝します。ありがとうございました)
八日目走行距離 51km
燃料補給 ナシ
東北ロングツーリング全走行距離 1,751km
燃料補給 9回
立ちゴケ 2回
総括
四十数年前東北でオレが住んでた場所は二本松を除いて殆ど昔の面影はなかったが、それは時の流れで致し方ないこと。
しかし、十和田奥入瀬の山や川、鰺ヶ沢の海、津軽平野とリンゴは全く変わってなかった。昔を思い出して楽しくてうれしかった・・・。
イイ〜ツーリングだった、もう一度行きたいと思う。
六日目、東京港に着くまでの嵐の中の走行は精神的にも肉体的にも苦しくて辛かったが、イイ経験になった。
普段オレは雨の日はバイクには乗らない。しかし、ロングツーリングの場合雨は避けて通れない。今回も雨天の走行を十分過ぎるほど経験して多少
自信のようなものが付いた。幸いにも一度もスリップや走行中の転倒は無かったが雨天時には特に急ハンドル急ブレーキは禁物、そのためには速度
はいつもより控えめに、これが鉄則。
恥ずかしいが立ちゴケを二回遣らかした。しかし、66歳のジィ様には致し方ないことかと自分では思う。特に疲れてる時など注意が必要だ。
コカスまいとして頑張り過ぎると足や腕を痛める可能性が高い、頑張り過ぎずに逆に諦めてゆっくり倒す勇気が必要かと思う。
東北ロングツーリング教訓
1.狭い上り坂でのUターンは禁物。(ジィ様は特に・・・)
2.バイクを止める時は出来るだけ上りに向けて駐車すること。(砂利道での駐車はスリップに注意し、できるだけ避けること)
3.ゴアの雨具は十分に威力を発揮したが、雨水がズボンの裾から靴の中へ浸入するのを防ぐ必要あり。(登山用のゴアのスパッツ着用考慮)
4.今回着用したゴアのトレッキングシューズは威力大。(大正解)
5.ツーリング終盤作戦計画の変更を余儀なくされたが今後はより詳細な時間配分計画が必要。
6.今回のロングツーリング成功の要因は詳細なシミュレーションを何度も繰り返したことにある。
(進路変更の交差点及びルート上の国道県道をすべて暗記しマップルを開いたのは一度だけ
^^)
7.温泉に入る時は混浴の有無を落ち着いて調べること。(妙な視線を感じた時には直ちに警戒すべし
^^;)
以上。(大成功^^)