所長's COLUMN 


所長の考察ページ

28.DEC.03  転倒





バイクは転倒する乗り物だ。


バイクに乗って走っているときに倒れないのは
身体が自然にバランスを取りながら乗っているからだ。
そのスピードが速ければ速いほどタイヤの慣性が安定してきて
倒れにくくなる。

自転車もそうだが二輪というのは停止状態で自立はできないから
支えが無くなるといとも簡単に倒れてしまう。
常に転倒の危険を頭の何処かで認識しながら走らねばならない分緊張感は高い。


しかし実際に転倒ということは通常走行の中ではあまり無いのだ。
もし転倒することがあればそこには何か違うファクターが存在する場合が多い。
それは路面の状況であったり急な第三者の飛び出しであったり
バイクの故障だったりする。


立ちごけも自分の想像と違う挙動を示した時に起こりやすい。
Uターンの時に思ったよりインに切れ込んだとか
坂道の途中で廻ろうとして地面の感覚を失ったとか
停車して足をつこうとしたら窪みになってて足が地面に届かなかったとか
ズボンがステップに引っかかって足が降りなかったとかだな。


転倒しないライディングというのは
自分の技量の中でどこまで安全マージンを取る乗り方をするかに尽きる


通常のバイクの点検を怠るのは言語道断、自業自得だ。
伸びたチェーンが外れたとか
走り出しのタイヤの空気圧が低くてパンクしたとかだ。
走行前点検(ネンオシャチェブク・・)をきちんと毎回するのが理想だが現実的には
洗車した時や給油時に点検できればいいだろう
自分で見る時間無ければバイク屋さんで定期的に点検してもらえば良い。


走行中の安全マージンの取り方は人によってそれぞれだから
一概には言えないが周囲の情況をどれだけ理解して
その中をどう動くかを頭の中で常に判断しながら走ることが必要だ。

ベテランライダーに事故が少ないのは
経験上どういう状況が危険なのか見極めて身体に染み付いているからだ。



しかしそれでも起きてしまうのが転倒なのだな
私の転倒経験はNSR時代で数回、VTZで1回だ。


NSRの初転倒は忘れもしないバイトの帰りの鈴鹿の夜の山道のこと

見た目は通常のカーブだったのだが街灯は無く自分の暗いライトだけが頼りで
道の状況があまり見えていなかった。
ダンプカーの出入口が近くにあってコーナー中に
ジャリが捲かれていたのに気が付いたのはそれを踏んだ後だった。

迫り来るコーナー、曲がらないバイク、減速できない運転技術。
結果あっという間に自爆転倒である。


転倒の衝撃の音で遠くの民家の雨戸が開いたのが見えたが
そのまま締められてしまった
30分ばかり放心状態でバイク共々道路に寝転がっていたが
誰にも気が付いてもらえず寒くなってきたのでむくっと起きて
動かないバイクに涙しながら途方に暮れたのだ
(単にカブっていただけなので100発キックを入れた)

後続車がいなかったのが不幸中の幸いである
骨折は無かったがしばらく痛かったからひびが入っていたみたいだ(自然治癒)


VTZの転倒事故は池袋から秋葉原に向かう国道254号の中で起こした。

流れに乗って走行していたのだが大塚の右コーナーを抜けた直後に
前走車が突然路肩に停止
もちろんそんなとこ本来駐停車禁止である。
でもそんな理屈は通用しないのが現実。

目前で車が止まるとは・・・お先真っ暗で絶望感だけが見えた。

追い越し車線には走行車がいるから
回避不能でバイクを捨てることになる
転倒はしたものの車に当たる寸前に何とか止まった。

余談だがこの時着ていたのがクシタニのライディングジャケットで
こいつのおかげで大怪我を防ぐことができた(捻挫と擦り傷程度だった)
それからずっとクシタニ派である。


いずれのケースも自分の不注意に因る転倒である訳で
夜間の道路状況の確認不足と安全車間距離の不足
状況判断の大切さを身をもって知ったわけだ。

道路状況は絶えず変化しているから
的確な状況判断を失ったら事故に直結しやすい。


まあ転倒したからと言ってバイクを降りるわけでもなく
未だに懲りずに乗っているのは本当にバイクバカだからかな。




限定解除が教習所で取れる時代になり
最初から大型に乗れる幸せな時代だけど
今からバイクに乗ってみようかなと思っているライダーの卵には
私は敢えて小型のバイクから段々とステップアップをお勧めしたい

小さいバイクだと速度もあまり出ないから
万一転倒しても死に至ることは少ない
少しずつ経験値を貯めて大きいのに乗った方が
バイクの技術も向上するし事故を予知する経験値も死なない程度に
上がると思うのだ。

大きなお世話かも知れないけどね










文責は全て所長にあります
意見は掲示板にどうぞ



BACK