ギアの原型となったのは、苛酷な惑星環境を持つ惑星カシアスでの初期テラフォ−ミングで開発投入された乗員搭乗型の作業用ロボットである。火山活動が活発な若い惑星であるカシアスでは、鉱山開発はガス災害などの事故の危険性が非常に高くそれに対応するために密閉型に作業用ロボットによる開発が進められた。

初期の軍事的な転用は、駆動系反応速度の限界、電源確保の問題などがあり、基地建設及び補給などの戦闘後方支援に活動範囲が限定されていた。

 

銀河標準暦00040前後の技術革新は、それまで油圧駆動系とは比較にならない反応速度が得られるリニア駆動系の実用化と、安定した高出力電源である重水を利用した燃料電池の開発という現在のギアにつながる画期的な技術が生まれた。駆動系と電源の2つの問題を解決したことにより、軍事的に有用なロボット兵器としてギアが惑星カシアスに出現することになった。

 

ギアの出現によって、地上戦の様相は一変した。ギアは、それまでの無限軌道を装備した戦車と比べると圧倒的に機敏な動作が行え、また歩行兵器という特徴もあり車両では進入できないような作戦域での作戦行動も可能であった。

ギアには、ある程度の対空戦闘能力も付加されたため、それまでの地上兵器の弱点であったヘリなどによる対地攻撃にも十分に応戦できるようになった。

しかし、こうしたギアの特徴は、当時のカシアス連邦軍には理解されず、反政府組織として急速に拡大していた解放軍にギアの配備の面で次第に水をあけられていった。当時のカシアス連邦軍は、地球連邦からの軍事顧問を受け入れており、カシアス独自の兵器であるギアの有用性を理解することは出来なかった。こうした状況は、やがて惑星を連邦軍と解放軍とで二分する原因となった。

 

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