あれやこれや

2007年11月15日
誰の為のプロテクト


一時,CCCDと呼ばれるコピープロテクトされた音楽CDが売られていました.コピー
は出来ないように,でも普通のプレーヤーでは再生できるようにという相反する厄介
な目的があるので,満足なモノが出来ませんでした.音質劣化とハードへの過負
荷.それより何より売り上げに全然寄与していないらしい.で,今や有名無実.この
ような詰まらないプロテクトは所詮消えて無くなる運命でした.大体,後付で既存の
規格に当てはめようというところに無理があり,プロテクト解除も簡単でしたし,解除
させないようツールキットを組み込むような卑怯なことをするメーカーもありました.
そんなことをすれば非難は集中するので返って不利に働きました.CCCDが消えて
無くなるのは当然の帰結だったのです.

CCCDのように既存のシステムにプロテクト機能を付加するのは制約が多く厄介でし
たが,スパイウェアの組み込みさえお手のもののOSメーカーが結託したら簡単そう
です.ということで,netで配信する音楽や映像にOSがらみのDRMが出て来ました.
確かに何でもアリのOSメーカーが後ろに付いていますので,このプロテクトの解除
は厄介.でも,所詮デジタルの世界.誰かが裏技を見つけて公開してしまえば後は
イタチごっこ.WindowsのDRMもごく少数の怪しげなマニア(気持ち悪いですね)にと
ってはプロテクトではなくなってしまいました.著作権のある作品がファイル交換ソフ
トを介して(しばしばウィルスと一緒に)違法に世界中に配られているというのが現
状.バカみたいなのは我々善良なユーザーだけ.という訳で,WindowsのDRMも今や
廃る方向です.

お次は我らが日本の恥さらしCPRMです.昨日の続き,つまりデジタル放送をデジタ
ル録画して作ったDVD-Rなどに掛けられる迷惑なプロテクトのこと.昨日書いたよう
に私とデジタル放送との付き合いには殆ど関わりがないので,このプロテクトは邪魔
ではありませんが,普通のドラマやバラエティー番組が好きな大多数のユーザーに
とっては目障り極まりないモノでしょう.だって自分の録画したDVDが対応していない
プレーヤーで見ることもパソコンに取り込んで編集することも出来ないのです.自分
のものなのに自分で見られない.ごく一部の海賊版を作って売ろうという悪人退治の
ためだけのプロテクトに,このような善良なユーザー全員が迷惑しているのです.そ
して,悪人退治の方法が的外れ,間違っていることは明白.SF映画でありがちな安
直な解決法,ウィルスの蔓延を食い止めるとか証拠隠滅のために街全体を核兵器
で消滅させるような乱暴さですね.

ところで,ハードメーカーを巻き込んだプロテクトなので,今度こそ絶対に解除不可
能と考えられていたCPRMですが,やはりデジタルの宿命.“その世界”では既に解
除手段が確立されているようです.またも,我々善良なユーザーは置いてけ堀をさ
せられて,本来のターゲットであるはずの悪人(海賊版業者)とマニア(P2Pとウィル
スの好きな人)だけにはプロテクト効果が無いというそれこそ無意味,本末転倒な投
資に終わってしまっているのです.だからこそ,近い内にこの馬鹿な制度も終焉を迎
えるのが自然の成り行き.DVDレコーダーを購入するのはその後にした方が身の為
だよというのが昨日の最後の段落の意味なのでした.なお,それでもこの制度
(CPRMいや,B-CASによる支配)が無くならないのならばそれこそ,著作権保護(海
賊版対策,P2Pソフトによる無法地帯対策)ではなく利権確保(無辜のユーザーから
理不尽に金を巻き上げる制度)こそ真の目的であることを証明するようなものです.






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