北海道フリーきっぷ,グリーン車鉄道旅行-1〜北海道鉄道旅行記〜


北海道フリーきっぷ(グリーン車用)

北海道フリーきっぷ。グリーン車用
34,860円、普通車用23,750円。7日間有効
で北海道の鉄道旅行を堪能できる。2人で
同一行動なら「北海道ペアきっぷ」があり、
よりお得。記名式。(2001,7月現在)
超乗り得切符「北海道フリーきっぷ」
 7月1日のJR北海道ダイヤ改正で札幌-釧路間の夜行特急に「まりも」の名称が復活したのを記念して運転される「北斗星まりも」に乗りに行く事にしていた。1日で帰ってくるのは勿体無く、5日間道内の夜行列車に寝泊りしながら「北海道フリーきっぷ」で久しぶりに北海道の鉄道旅行を満喫しようと思った。

 北海道フリーきっぷはJR北海道の全鉄道路線と路線バスの多くが7日間乗り放題という、鉄道で北海道を旅行する者には嬉しい切符で、目一杯使わないとしても、かなりお得な切符だ。乗車前の発券で指定席にも乗車でき、座席の心配をしなくてもいいのが更に嬉しい。「普通車用」は特急などの普通車指定席、「グリーン車用」は普通車指定席はもちろん、グリーン車と、道内夜行特急のB寝台車にも追加料金無しで乗ることが出来る。もちろん自由席にも乗り放題だ。
 
 どちらを使おうか迷ったが、さすがに座席で3日間車中連泊はハードで、1万円高くなるが、B寝台にも乗れるグリーン車用に決めた。その方が疲れはうんと少ないだろう。もちろん、1万円余分に払うだけで滅多に乗る事が出来ないグリーン車に好きなだけ乗れるのも大きな魅力だった。

 だが、北海道フリーきっぷは道内の他は一部地区でしか発売していなく、私の住んでいる中部地方では、販売していない。現地に到着してから購入する手もあるのだが、希望列車のグリーン券が取れなければ、折角のグリーン車用が台無しだし、予定が狂う。

 何とかならないものかと、JR北海道のウェブサイトを見ていたら、駅旅行センターの店舗案内に「お受け取り場所もご相談下さい」という一文があり、札幌駅の旅行センターに問い合わせてみたら、送料800円で希望列車の指定券も取って送ってくれるという。そこから先の手配はスムーズに進み、希望列車を伝え、1ヶ月前の指定券の発売を待った。1週間後に希望通りに指定券が取れたという連絡が入って来て、切符代と送料を合わせた金額を振り込んだ数日後に、北海道フリーきっぷと希望列車のグリーン券、B寝台券が自宅に届いた。北斗星まりもの切符は自分で既に取っておいた。

 往復の交通手段は、今回珍しく往復とも飛行機だ。ちょうど全日空の全国どこでも1万円の「超割」の期間で、帰りは新千歳-名古屋間の希望通りの便を取ることが出来た。通常期だと31,500円なので、半額以下となりお得だ。行きは同じく全日空の早期購入割引の「早割」が取れた。超割程ではないが、こちらもなかなかお得だ。

■一日目(7/1)

名古屋空港7:40(ANA905)9:15 新千歳空港9:48(快速エアポート97)9:51南千歳
10:41(特急とかち3)13:04帯広14:10(特急スーパーおおぞら5)15:42釧路16:12
5637D)18:43根室20:40(寝台特急北斗星まりも) 〜夜行列車泊


快速エアポート(781系)の車内

今回の北海道フリーきっぷの旅で
道内トップランナーになった781系車
快速エアポートの車内。区切りの
向こう側が指定席車Uシート。
札幌-旭川間は特急ライラックとなる。
北海道までひとっ飛び
 全日空のB767-200で、約1時間半空のからの景色を楽しみ新千歳空港に着陸した。荷物を受け取り、案内に導かれ、地下にある新千歳空港駅に着いた。ホームには781系車の札幌行き快速エアポートが控えている。

 昨年後半から快速エアポートの指定席を「Uシート」と特急指定席並にグレードアップを図っている。エアポートの大半は通勤車両の721系だが、札幌-旭川間は特急ライラックになる781系のエアポートはどのようになっているか興味があった。札幌寄りの4号車から車内に入ると、客室まん中辺りで簡単な仕切りが設置されていて、運転室寄りの半分が指定席Uシート車で、残りの半分が自由席車だ。781系は元々特急車両なので、見た限りでは自由席車と差は無い。これが721系なら、Uシートと普通車の差は歴然なのだが…。

 それほど混まず、新千歳空港を出発し、今回の鉄道旅行が始まった。暫くトンネルを走し、地上に出るとかつての千歳空港駅の南千歳だ。今回は札幌まで乗り通さないでここで下車した。

最初のグリーン車は特急とかち3号
北斗星まりも号の始発の根室に向うため、これからひたすら鉄道で東を目指す。私の乗る列車は帯広行き「とかち3号」だが、来るまでに1時間近くもある。とりあえず待合室に行った。

 10時40の定刻にとかち3号は入線してきた。今日からダイヤ改正で石勝線の特急のほとんどが283系になったが、「とかち」の4往復と夜行の「まりも」は今や古参の183系気動車だ。通常型のグリーン車が来るだろうと思っていたが、窓が大きなハイデッカーのグリーン車だった。グリーン車旅の始まりなので、わくわくしながら乗り込む。緩いスロープのような通路を登って客室に入ると、1-2と横3列の大きなシートがゆったりとした間隔で並んでいた。やはりグリーン車は違う。

 指定された席を見つけ、ゆったりとしたシートに身を沈める。前のシートのポケットにはJR北海道の車内誌「THE JR Hokkaido」とワゴンサービスのメニューがある。ワゴンサービスメニューに目を通していると「ツインクルレディ」が検札に来た。数分後には別のツインクルレディが無料ドリンクの注文を取りに来る。グリーン車の乗客にはソフトドリンクが無料サービスされるのだ。ツインクルレディとは車内サービス担当の女性の客室乗務員だ。検札、無料ドリンクのサービスなどのグリーン車の接客に女性の細やかさを生かしていて、JR北海道のグリーン車のセールスポイントの1つとなっている。その他にも車内販売、車内放送なども担当するなど結構忙しい。
期間限定駅弁、沿線こだわり弁当

特急おおぞらオールスーパー化記念の
「沿線こだわり弁当」。7〜9月の期間限定。
ツインクルレディに薦められ購入。
帯広に到着したとかち3号

高架の帯広に到着したとかち3号。7/1の
JR北海道ダイヤ改正で283系気動車使用
のスーパーおおぞら、スーパとかちが増発
され、石勝線経由の183系気動車使用特急
は「まりも」1往復と「とかち」4往復だけになった。
帯広駅

帯広駅入り口に掲げられたスーパーおおぞら、
スーパーとかち増発をPRする大きな看板。
駅の駐車場ではダイヤ改正記念イベント
が行われていた。

 
ダイヤ改正ムードの帯広駅
帯広では「スーパーおおぞら5号」に乗るまで約1時間程の余裕がある。階段を下ると、自動改札機に出迎えられ少々驚く。札幌圏ではあたりまえだが、ついにこんな所までやってきた。1、2番線と3、4番線の改札が別々で向かい合っていという変わった方式で、乗換えで1番線から4番線に向うには、改札を1回出なければならず、また番線を間違えたら改札の外に出なければならずやや面倒に思える。今日からの導入らしく、係員が絶えず横に立って乗客に案内している。自動改札慣れしていない地元の人、特にお年よりなどは戸惑う事も多いのだろう。

 今日の帯広駅ではダイヤ改正記念のイベントが行われ、日曜日という事もあり地元の人でとても賑やがだ。駅の出口辺りではフリーマーケットが行われ、所狭しと店が並び、品定めする人で通路まで狭くなっている。外に出ると、右手の駐車場はイベントスペースとなっていて多くの露店が出てお祭りのようだ。ステージではラジオ番組の収録が行われ帯広駅駅長がインタビューを受けている、ダイヤ改正で283系気動車使用の「スーパー」系統の特急が増発された事を盛んにアピールしていた。

 帯広駅にはショッピング街のエスタがあり、北海道の有名なお菓子屋「六花亭」も出店している。北海道お土産として人気が高く、ここ帯広が本拠地だ。素通りするのも惜しく、六花亭のお菓子で特に人気の高いものの1つ「マルセイバターサンド」の少量パックを買ってホームに上がった。

快適!特急スーパーおおぞらのグリーン車
 14時09分定刻にスーパーおおぞら5号が帯広駅の高架ホームに入線してきた。車両は道内特急のエース的存在と言える283系気動車だ。降りる人を暫く待って中に入るとツインクルレディの丁寧なお辞儀に出迎えられた。

 車内は先程乗ったハイデッカーグリーン車に比べ、豪華で高級感のある落ち着いた内装で、間接照明が室内を柔らかに照らし、そんな雰囲気を演出する。1−2の横3列のゆったり配置の座席で、足元にも十分余裕がありのびのび出来る。シートは他のJR北海道の特急とは違う新型のシートで、座り心地もより向上している。そんな中、ツインクルレディがサーブしてくれたドリンクを飲み、快適な座席に身を沈め、ゆったりとした気持ちで車窓を見ていると、上級の座席に乗る嬉しさを一層引き立てられる。

 座席だけでなく、走りっぷりもなかなか見事だ。釧路まではカーブが多いが、あまり減速せず、238系気動車は振子を効かしながらカーブする。その度に車体が右へ左へと大きく傾き、その動きに合わせ、車窓が地面にグッと傾き近づいたり、ふわっと浮き上がるようになったりりとスピード感あるダイナミックな走りで、飛行機で旋回する感覚に似ている。

 今日からダイヤ改正記念として、スーパーおおぞらチョロQがスーパーおおぞらの車内だけで限定販売される。いい年した人間が買うもの恥ずかしい気がするが、旅の記念にと、思い切って車販のツインクルレディに「すみません。チョロQ下さい」と声を掛け購入した。

 とても快適で、釧路に到着するまでの1時間半がとても短かった。

動物ウォッチング列車
 釧路駅5番ホームで根室行きの列車を待っていた。連日30℃の名古屋から、半日でここまで来てしまい、空気は心地良さを通り越し、少し寒ささえ感じさせる冷たさだ。思わずバッグの中に丸めておいたジャケットを取り出し着た。

 程よく乗客で埋まった釧路発根室行き5637Dは定刻に出発した。北海道の原野を通る路線ではエゾシカ、キタキツネなどの動物が現れ、時には列車の目の前を横切るので、列車は警笛を大きく鳴らしながら急停止してしまう事さえある。線路さえ野生動物の通り道で、道東の釧網本線と、今乗っている根室本線の釧路‐根室間もそんな路線の1つだ。

 だから、野生動物が現れないか注意深く車窓の外を見ていた。なかなか現れなかったが、厚岸までに数等のエゾシカが歩いているのを発見した。そして厚岸駅を出て、牡蠣で有名な厚岸湖の側を走っていると、足が細長く白い体で頭の一部が赤いツガイが浅瀬に佇んでいる姿が目に飛び込んできた。丹頂ヅルだ!丹頂鶴は冬の鶴居、茅沼駅などが有名だが、夏だと思わぬ所で見る事がある。見られる事を期待していたが、願い通り丹頂ヅルに出会えてとても嬉しい。

 その後根室に着くまで何度もエゾシカを見た。ある時は少し高い所に上るためジャンプしていたり、6、7頭の群れだったりと沿線の原野を思うままに歩いている姿は、原野は彼らのもので、列車がその中を通してもらっているかのように思えてくる。

 列車は18時43分の定刻に根室に着いた。朝に名古屋を出て、飛行機、列車と乗り継ぎ、約13時間でこの地に到着した。今回の渡道で気にしていたのは、気温差により体調を崩してしまわないかで、念のため風邪薬を多めに持っていた。やはり私の予想通り、根室の夕暮れは身震いする寒さだった。7月だと言うのに、真夏の猛暑が続く名古屋とは、10度以上の気温差で、まるでもう秋が来てしまったかのような気分になった。

 まだ北斗星まりもの出発まで2時間程あり、コンビニなどで時間を潰した。(北斗星まりもの乗車記は当サイト内「最果ての豪華ブルートレイン〜北斗星まりも」でお楽しみ下さい。別ウインドウで開きます。)
スーパーおおぞら(283系)、グリーン車内

ゆったりとしていて高級感漂う特急
スーパーおおぞらのグリーン車車内。
走りも見事!
 釧路駅の守り神?

釧路駅2、3番線の帯広寄り先端にひっそり
と置かれていた釧路駅の守り神?信楽焼
のたぬき。この他にも張りボテの283系、
道東の炭坑で採れた石炭など、気に
なるものが何気に置かれている。
夕方、根室駅に到着

約13時間で道東の根室に到着。
かなり肌寒かった。


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