あとでドカ〜ンと消費税アップ…
14兆円の「経済危機対策」、景気・くらしに役立たず
会報「ノー消費税」2009.6 第215号

 「経済危機対策」と称して約14兆円というべらぼうな補正予算が、5月13日衆議院で可決されました。  
 09年度当初予算が決められた直後にこれほどの補正が提案されるということは前代未聞です。年間100兆円を超える史上最大規模。財界は、95%の要求が入った、と高笑いです。そして借金のつけは消費税増税国民へ。14兆円は消費税に換算すると約6%です。
 この「経済危機対策」が、国民生活の根っこのところにどのような影響をあたえるのか。「これで日本はよくなるの。国民生活はどうなるの?」と心細い声があるのは当然です。

国民のためには一回かぎりの、場あたり的な施策
 臨時異例の措置などという文書まで用意して、ありがた味を強調している「不況下の子育て世代支援」(3歳から5歳までの子どものいる家庭に3万6千円を一回だけ配る)や、妊婦検診を14回無料にするという「朗報」もなんと3年間だけという曰く付き。「女性特有のがん対策」といって1年限りの検診などを含んでいますが、これまで縮減、廃止されてきた生活保護の母子加算や老齢加算など、切実に復活を望まれているものはそのままです。
 連続する毎年2200億円の社会保障費の削減を是正することは考えられていません。
 国民生活の悪化を度外視した場当たり的な一時しのぎの危機対策、しかもそのツケを消費税増税に回すとは。経済の破綻をもたらすのではないでしょうか。

街頭で聞かれる庶民の声は
 
「政府は少子化、少子化≠「うけれど、出産費用が50万円もかかるなんて、若い人が準備するのはとてもたいへん。せめて出産は無料にして、安心して子どもが生めるような国にするのが政治じゃないですか。フランスなどで出生率があがってきていると聞きますが、それなりの国の決意があってのことでしょう。わずかばかりのアメを国民になめさせてあとでドカンと増税、あまりにも姑息です」。
 「エコカー、省エネ家電、太陽光パネルを三種の神器とか言って、補正予算を宣伝してますけど、今月のアパート代が払えるかとおびえるような生活をしている私には全く縁がありません。1時間1000円で働く派遣の身になって考える政治がほしい」。
 消費税をなくす全国の会の街頭宣伝で聞かれた声の一部です。

大企業へは大盤振る舞い、天下り官僚に甘い汁
 今回の14兆円の「経済危機対策」の大部分は、大企業を応援する「バラマキ」です。
 麻生首相は、国民生活をうるおす「内需拡大こそ」を省みず、「民需拡大」とさかんに言います。
 とくに、大型公共事業を前倒しして、高規格の道路や新幹線、港湾工事など、この際一気に復活させようとしています。日本の土木工事史上最大といわれる、東京の練馬と世田谷を結ぶ外環道路16キロメートルに、5階建てマンション規模の上下2本のトンネルを地下40メートルに通すというのです。しかも、麻生首相は日本共産党の笠井亮議員の質問に、「(ゼネコンのためとの指摘)わからんでもない」と答弁したほどです。
 しかも、「天下り法人に2兆8500億円」―補正の2割近くを支出―(東京新聞5月8日付)。公務員OBの再就職先、独立行政法人や、公益法人などに支出するとしています。短期の在任で高額収入を得る天下りに国民の批判はかなり強いものがありますが、あえてこれほどの巨額を投入する無神経さに怒りを禁じえません。

国民の命と暮らしを直接守る政治を総選挙で
 欧米の経済危機対策は、高額所得者への増税によって庶民への減税を実施し、内需をあたためることが中心。日本の経済危機対策≠ヘ世界でも異常です。
 国民の命と暮らしを直接守る政治を総選挙で。私たち国民にかかっています。
(文責・杵渕智子)