｛メイドさんで巡る陸軍の世界｝

戦史再現−ガダルの挺身隊

　大東亜戦争で初の日米の本格的衝突があった南海のガダルカナル島。

　敵の圧倒的な火力の前にさらされた、ある歩兵中隊が下士官を長とした３名の敵機関銃破壊のための「挺身斬込隊」を繰り出しました。

　戦史にも残らない、この小戦闘を「メイドさん」を用いまして、再現いたします。

　歴史に残る陸・海の航空機・船舶に搭乗した「特別攻撃隊」のほかにも、名もない「特別攻撃隊−斬込隊」が有ったことを知って頂ければ幸いです。

ガダルカナル島要図

１．状況

　昭和１７年１２月３１日早朝、ガダルカナル島「砲兵台」のふもとに布陣している「歩兵第○○（あえて伏せ字に致します）聯隊−第一中隊」の陣地正面の高台に、米軍は掩蓋付の機関銃陣地を構築し中隊陣地を見下ろす形で、絶え間ない機関銃攻撃を開始しました。

　この射撃のために、中隊は活動することが出来ず、夜半に下士官（伍長）を長とする３名の機関銃座破壊挺身隊の出動を中隊長は決意しました。

状況図

２．出撃準備

　作戦は、「１８時−出撃」→「１９時３０分−襲撃」→「２１時−陣地帰還」の予定で作戦が立案され、前進方法は、敵の砲爆撃で破壊されつくし、しかもスコールの為に泥沼と化した草原を１時間３０分もの時間を懸けて匍匐で挺身する方法です。

　装備は「一〇〇式機関短銃」１・「手榴弾」各自２発・「円匙」１・「十字鍬」１・「軍刀」１・「銃剣」２です。

中隊長出撃訓示

斬込機材

　中隊には、近接戦闘用の増加装備として１丁の「一〇〇式機関短銃」が配備されていました。これは、大本営が「ガダル奪還」のために昭和１７年８月２８日の「第十七軍戦力強化策緊急措置」によってガダルに緊急輸送した新兵器の１部です。

斬込機材−メイドさん版

３．攻撃開始

　１８時に斬込隊の３名は、夜のとばりに紛れて、出撃を開始します。

　敵に、攻撃意図を悟られないように、前進は徹底した匍匐で行われます。

　当日は月の出ない闇夜でしたので、斬込隊員は識別用の白ダスキを付けたものと推測します。

徹底した隠密匍匐

メイドさんが行っているのは「第二匍匐」ですが、敵陣寸前では通称「尺取虫」と呼ばれる「第四匍匐」で前進します。

未だメイドさんの襲撃を知らない敵兵

「ステーキ」・「ビフテキ」・「コンビーフ」・・・「贅沢」・「物量」ルンルンルン・・・

敵陣寸前

にじり、にじり、にじり・・・

４．攻撃突入

　２１時３０分、予定どおりに敵陣地正面に到着。

　「一〇〇式機関短銃」の銃眼への集中射撃と、「手榴弾」の投擲の後に、「銃剣」・「軍刀」をかざして突入します。

　実際の戦闘では、敵兵数名を殺傷し、機関銃座を破壊して、土嚢約６０を捕獲しました。

銃眼射撃と手榴弾投擲

一〇〇式機関短銃は、射撃精度の安定のために「膝撃」の射撃姿勢でおこない、手榴弾は「伏投」で、投擲する。

銃眼射撃と手榴弾投擲

突入！

それにしても着剣した一〇〇式機関短銃は長い・・・

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